研究課題/領域番号 |
13J06103
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
伊藤 隼哉 東北大学, 農学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 過酸化脂質 / 酸化ストレス / メタボリックシンドローム / 肥満 / 胎児プログラミング / CL-HPLC / PCOOH / 妊娠・授乳期 |
研究実績の概要 |
本研究課題「肥満における生体内脂質過酸化の亢進と食品成分による予防」では、妊娠・授乳期における母親の高エネルギー食摂取が子供の肥満を介して、動脈硬化症の発症リスクに与える影響を、体内の酸化ストレス解析に重点を置きながら明らかにすることを目的としている。酸化ストレスは生体内の脂質過酸化を亢進させ、肥満をはじめとしたメタボリックシンドロームひいては動脈硬化症の発症・進展に大きな影響を与えることが考えられるが、明らかにした報告はない。そこで本研究では、1)母親の栄養状態が子供の動脈硬化症の発症リスクに与える影響の検証、2)肥満が脂質過酸化を亢進するメカニズムの解明、3)動脈硬化症を予防する食品成分の探索、これらを目的に本研究を進めている。 本年度(平成26年度)は、昨年度から引き続き、1)母親の栄養状態が子供の動脈硬化症の発症リスクに与える影響の検証結果をもとに、2)肥満が脂質過酸化を亢進するメカニズムの解明を目指した。その結果、仔マウスのメタボリックシンドローム様症状の亢進に伴い、リン脂質過酸化脂質を特異的に代謝する酵素であるglutathione peroxidase 4など抗酸化反応に関与する遺伝子発現量の減少を明らかにした。すなわち、母親の高脂肪食摂取によって、生体内の過酸化脂質の蓄積とともにメタボリックシンドロームが進行し、それには抗酸化関連遺伝子の発現低下が大きく関与することが示唆された。また、これら疾患の発症・進展と脂質過酸化の関連を検証する中で、過酸化脂質の異性体解析の重要性が示唆された。そこで、本年度は過酸化脂質の異性体解析にも取り組み、異性体解析に有効な分析法を構築した(Ito, J., et al., J. Chromatogr. A, 1386, 53-61, 2015)。 このように当初の計画に沿いつつ、新たな研究手法を構築し、研究は順調に推移している。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
上述のように、現在までに、母親の高脂肪食摂取によって、生体内の過酸化脂質の蓄積とともにメタボリックシンドロームが進行し、それには抗酸化関連遺伝子の発現低下が大きく関与することを示唆した。すなわち、1)母親の栄養状態が子供の動脈硬化症の発症リスクに与える影響の検証、2)肥満が脂質過酸化を亢進するメカニズムの解明、を達成できたと考えられる。さらに、疾患に関与する過酸化脂質の異性体解析にも取り組み、異性体解析に有効な分析法を構築した(Ito, J., et al., J. Chromatogr. A, 1386, 53-61, 2015)。 このように当初の計画に沿いつつ、新たな研究手法を構築し、研究は順調に推移している。
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今後の研究の推進方策 |
1)母親の栄養状態が子供の動脈硬化症の発症リスクに与える影響の検証、2)肥満が脂質過酸化を亢進するメカニズムの解明、は当初から本年度(平成26年度)で終了予定である。 2)では計画を一部修正し、メタボリックシンドロームなどの疾患と脂質過酸化を関連付けるために異性体解析が重要であると考えられたため、異性体解析を可能とする分析手法を構築した(Ito, J., et al., J. Chromatogr. A, 1386, 53-61, 2015)。 そして、3)動脈硬化症を予防する食品成分の探索、としてこれまでの知見と分析手法をもとにして、抗酸化能を有する食品を重点的に評価する予定である(平成27年度)。
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