研究概要 |
本研究では光干渉計の原理を用いた音場の高精度可視化計測を目的としている. 音場のような高速かつ微小密度変化を捉えるためには, 光干渉計の位相・空間・時間分解能を飛躍的に向上させ, かつ広い観察視野が不可欠となる. さらに流体音響現象の実験を行うには風洞への適用も必要となる. これらの問題に対して, 本研究では新たな光学系, 光学プリズム, 画像処理プログラムの提案を行った. 光干渉計の観察視野拡大と風洞への適用に対しては, 三次元準コモンパス光学構成を提案した. 位相・空間分解能の向上には位相シフト技術を導入し, 位相シフト技術の高速現象への適用実現するために, 新たな光学素子であるアルバプリズムと出力画像を処理するための画像処理装置を開発した. まず風洞を用いた実験として, 円柱周りおよび平板周りの強制対流の可視化計測を行った. 円柱周りの強制対流実験ではトリッピングワイヤによる流動様相の変化などを捉えることができ, 三次元準コモンパス光学構成による可視化領域の拡大と風洞への適用に成功した. 平板周りの強制対流実験では, 位相シフト技術を角いて定常状態での境界層内の温度分布計測を行った. 計測結果は解析解との比較から, 良い一致を得られた. 光干渉計を用いた強制対流場の可視化計測はほとんど例がなく, さらに位相シフト技術を用いて強制対流の境界層内の温度分布を高分解能で可視化計測に成功した点は, 重要な研究成果である. さらに位相シフト技術の高速現象への適用を目的とし, 加熱細線周りの熱伝導の可視化計測を行った. ここでは既存の光干渉計にアルバプリズム, 画像処理装置および高速度カメラを組み込み, 温度分布を計測した. 計測温度分布は数値計算結果を比較し, 良い一致が得られた. 開発したアルバプリズムおよび画像処理プログラムを用いた位相シフト技術の高速現象への適用は成功したといえ, 位相シフト干渉計によって高速現象を捉えることのできた重要な実験結果である.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は音場の可視化計測に向け, 新たな光干渉計, 光学素子, 画像処理装置を開発し, それぞれについて検証実験を行った. 開発した装置を用いて観察視野の拡大, 風洞への適用, 高位相・空間・時間分解能が実現された.
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