研究課題
本研究の目的は、ヨーロッパヒメウが行う集団採餌がもつ機能を明らかにし、その生態学的意義を世界に先駆けて明らかにすることにある。そのため、GPSおよびビデオロガーを用いて、群れの行動を詳細に測り、その餌獲得量や繁殖成績をることでこうした目的を達成することを目指している。27年度には、当初の計画通り、イギリススコットランドのメイ島においてフィールド調査を行った。このフィールド調査によって、ヨーロッパヒメウに34個体にGPSロガーと加速度・深度・温度ロガーを1週間装着して長期間における行動データの回収に成功した。GPS調査では、特に10番を個体を捕獲してそれぞれの採餌場所を特定した。その結果、エネルギー価の高いイカナゴの利用可能性が低い年には自分自身の過去の餌獲得量が次の採餌場所選択に影響することが示唆された。一方、イカナゴの利用可能性が高い年には自分自身の過去の餌獲得量によらず、イカナゴが獲れやすい砂地が多く分布する海域を全ての個体が繰り返し集中的に利用することが示唆された。どちらの年も番相手の餌獲得量は、次の採餌場所選択に影響しなかった。また、昨年度までに得たのビデオロガーデータを全て解析し論文執筆を行った。本種は、海底でのみ餌を捕獲しており、砂場ではイカナゴが、岩場ではカジカ類、ギンポ類、カレイ類などが捕食されていた。また、記録された採餌場所の底質の利用割合は年によって異なり、餌の利用割合も異なっていた。更に、底質によって潜水行動が異なっている他、砂場の方が採餌効率やエネルギー獲得効率が高いことが初めて明らかとなった。現在草稿を共著者に回覧し、内容・文章について議論、修正を行っている。本論文については近日国際誌に投稿予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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