研究課題/領域番号 |
13J06320
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研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
臼井 舞 京都大学, 生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 褐色脂肪細胞 / 脂肪分化 / シグナル伝達 / 肥満 |
研究概要 |
脂肪細胞は大きく二種類に分けられる。白色脂肪細胞がエネルギーを貯蔵する働きを持つのに対し、褐色脂肪細胞は熱産生によるエネルギー消費を行う特異的な機能を持ち、体温維持などに働くとされる。この褐色脂肪細胞の数を増やすこと、または機能を向上させることにより肥満治療へ応用できると期待されている。そのため褐色脂肪細胞の分化機構を解明することは、生物学的だけでなく医療への応用という面でも大変意義のある課題である。褐色脂肪細胞の分化においては、Prdm16という転写因子が脂肪分化のマスターレギュレーターであるPPARγ等の因子と協調して働き、Ucp1に代表される褐色脂肪特異的遺伝子群の発現を誘導し、褐色脂肪細胞への分化に至ると考えられている。しかし、分化段階におけるシグナル伝達経路やPrdm16発現調節機構についてなど未だ不明な点が多い。本研究では、マウスより単離した褐色脂肪前駆細胞を用いて、褐色脂肪分化に関わる新規因子の同定や機能解析を通じて褐色脂肪分化のメカニズムを明らかにすることを目的としている。まず、関連因子の同定のため阻害剤スクリーニングを行った結果、褐色脂肪分化を濃度依存的に促進するものがあり、これまで褐色脂肪分化への関与が報告されていない因子の褐色脂肪分化への関与を新たに示した。またその因子の発現量は分化に伴い徐々に減少することも明らかにした。さらなる解析を進め、褐色脂肪分化のメカニズムの一端を明らかにできると考えている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
褐色脂肪分化を制御する分子機構について、当初の目的に沿っておおむね順調に成果が得られている。
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今後の研究の推進方策 |
褐色脂肪分化の分子機構の解明のため、新規同定因子の解析をさらに進める。また、この因子の白色脂肪前駆細胞への影響についても調べる予定である。
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