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2014 年度 実績報告書

形態形成における膜電位シグナルの役割

研究課題

研究課題/領域番号 13J06412
研究機関大阪大学

研究代表者

稲葉 真史  大阪大学, 医学研究科, 特別研究員(PD)

研究期間 (年度) 2013-04-26 – 2016-03-31
キーワードニワトリ / 羽 / パターン形成 / ギャップ結合 / カルシウムシグナル / エレクトロポレーション / 真皮細胞
研究実績の概要

本研究は、チャネル分子がニワトリの羽原基形成に深く関与するという仮説に基づき、等間隔パターン形成原理の解明を目的としている。昨年度までに、ギャップ結合の遺伝子抑制実験を行ったが、目立った表現型が観察されなかった。そこで、エレクトロポレーションによって引き起こされる遺伝子導入の状況を組織レベルで詳細に検討したところ、予想外の結果を得た。背側真皮の全体を標識するために、遺伝子導入は真皮を生み出す前体節中胚葉を標的として行ったにも関わらず、蛍光タンパクで標識された細胞は羽原基の周縁と羽原基以外の真皮細胞に限定されており、羽原基中心部の真皮細胞ではほとんど観察されなかった。さらに羽原基形成過程における標識細胞の動態を組織培養下で観察した。その結果、当初、皮膚の中で均一に分布していた標識細胞は将来の原基中心部を避けるように移動することが分かった。これまでは羽原基形成過程において、真皮細胞は原基の中心部とそれ以外の領域のどちらにも成りうることが示唆されていたが、本研究の結果はそれを支持しない。エレクトロポレーションが組織に対してランダムに起こることを考慮すると、前体節中胚葉のごく限られた領域が原基中心部の真皮細胞を、それよりも広い領域が原基周縁とそれ以外の真皮を生み出すことが示唆される。したがって本研究結果は、胚発生の早い段階(E1)で羽原基を構成する真皮細胞の発生運命は決定しており、パターン形成の段階(E6)でそれぞれの細胞集団が分離して、等間隔パターンをつくるというモデルを提案する。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

遺伝子導入が皮膚の真皮細胞に不均一に起こることが判明したので、ギャップ結合やカルシウムシグナルの役割についての遺伝的解析に遅れが生じた。しかしながら、羽原基と皮膚が由来の異なる真皮細胞の分離によって形成される可能性を見出したことは、等間隔パターン形成を理解する上で大きな前進であったと考えられる。

今後の研究の推進方策

羽原基形成におけるチャネル分子の役割について解析を行ってきたが、異種間真皮細胞の分離現象を踏まえて、まずはパターン形成における細胞の素性、動態を正確に把握することから始める。2種類の真皮細胞が前体節中胚葉のどの部位に由来するのか、両者に相互作用が存在するのかなどを、部位特異的エレクトロポレーションやキメラ解析、レトロウイルスベクターを用いて明らかにする。これらの実験は南カリフォルニア大学で行う予定である。これら問題を解決した後、チャネル分子が細胞動態においてどのような役割をもつのか調べてゆきたい。

  • 研究成果

    (1件)

すべて 2014

すべて 学会発表 (1件)

  • [学会発表] 羽原基の真皮細胞がつくる網目構造2014

    • 著者名/発表者名
      稲葉真史、Cheng-Ming Chuong、岡村康司
    • 学会等名
      第107回近畿生理学談話会
    • 発表場所
      神戸
    • 年月日
      2014-10-25

URL: 

公開日: 2016-06-01  

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