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2013 年度 実績報告書

金属クラスターが誘起する気相化学反応および溶液反応への展開

研究課題

研究課題/領域番号 13J06463
研究機関九州大学

研究代表者

伊藤 智憲  九州大学, 大学院理学研究院, 特別研究員(DC2)

キーワードクラスター / イオン-分子反応 / 反応速度論 / 分子吸着 / 金
研究概要

本研究では、イオントラップとタンデム型質量分析法を組み合わせて、サイズ選別された金属クラスターが誘起する気相化学反応を観測し、その反応の液相への展開を目標としている。本年度は、金属クラスターおよび誘起する化学反応として、選択的触媒能をもつことが期待されている金クラスターと工業的に重要な水素ガス発生プロセスである水性ガスシフト反応を、それぞれ対象にして調べた。先行する理論化学研究に基づくと、当該反応の誘起および促進には金二量体正イオンAu2+が最適であると考え、Au2+上で一酸化炭素と水分子が反応する条件を探索した。反応過程の測定に際しては、触媒サイクルの観測を念頭に置き、質量選別したイオンをイオントラップに捕捉して、反応ガス分子と多数回相互作用させる手法を採用した。水性ガスシフト反応の反応物をそれぞれ付加した金二量体Au2(H20)(CO)+は、H20の影響により解離反応が優先的に進むため、当該反応に対して誘起効果を有するか判断できなかった。一方で、水分子が吸着した状態の金二量体は、一酸化炭素および酸素との吸着反応が誘発されることが判明した。特に、酸素分子吸着反応の誘発は酸素分子から活性酸素を生じる過程と類似するため、酸化触媒のメカニズムについての知見が得られる可能性がある。さらに、水分子吸着によるクラスターの反応性の変化は、クラスターの反応を溶液反応に展開する際の重要な鍵を握ることになるので、今後の系統的な調査の必要性が示唆された。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

概要に示した通り、誘起反応の探索に関してはやや遅れている。一方で、来年度に実行予定であった水分子の吸着による金クラスターの反応性の変化を明らかにすることができた。この成果は、本研究課題の目的である気相反応の溶液反応への展開研究の大きな足がかりとなったといえる。

今後の研究の推進方策

第一に、水クラスター上に金クラスターを付加して、疑似的な溶液反応条件を作り出すことに取り組む。続いて、金クラスターが誘起する誘起反応の探索を、実験および理論科学計算の両面から進めていく。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (2件)

  • [雑誌論文] Water-Induced Adsorption of Carbon Monoxide and Oxygen on the Gold Dimer Cation2014

    • 著者名/発表者名
      T. Ito, et al.
    • 雑誌名

      The Journal of Physical Chemistry A

      巻: (印刷中)

    • DOI

      10.1021/jp501111f

    • 査読あり
  • [学会発表] 線形イオントラップに捕捉した銀クラスター正イオンの光解離分光2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤智憲
    • 学会等名
      第7回分子科学討論会
    • 発表場所
      京都
    • 年月日
      2013-09-25
  • [学会発表] 銀クラスター正イオンへの窒素分子の逐次吸着 : イオントラップを用いた反応測定2013

    • 著者名/発表者名
      伊藤智憲
    • 学会等名
      ナノ学会 第11回大会
    • 発表場所
      東京
    • 年月日
      2013-06-07

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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