研究概要 |
NPC1L1は小腸・胆管の細胞膜上において, コレステロールの吸収を担うトランスポーターである. NPC1L1は13回膜貫通型の膜タンパク質であり, 細胞外側に3つの大きなループを有する. 最もN末端側のループはコレステロール結合部位であることが示されているが, 我々はNPC1L1のホモログであるNPC1に関する知見から, NPC1L1にはN末端ドメインとは別の第二のステロール結合部位が存在するとの仮説を構築した. 本研究は, N末端ドメインおよび第二のステロール結合部位にそれぞれ特異的な阻害剤を創製し, これら2つのステロール結合部位のコレステロール吸収における役割を明らかにすることを目的とする. 今年度は, 第二のステロール結合部位を標的とした阻害剤の創製に成功した. NPC1L1の第二のステロール結合部位に対する結合は, 当初の計画通りpharmacologi cal chaperone作用による局在変化を指標とすることで検出できた. この局在修正作用を指標として構造活性相関研究を行い, ステロイド骨格を有するNPC1L1リガンドを得た. この新規NPC1L1リガンドがNPC1L1の機能に対して及ぼす影響を調べたところ, Caco-2細胞およびマウスのいずれにおいても阻害作用が確認できた. 今後は, これらの阻害剤のN末端ドメインに対する結合能を評価し, 結合の特異性について検討する. また, 第二のステロール結合部位が具体的にNPC1L1のどこに位置するのか, 光親和性標識法により特定することを目指す.
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