• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2013 年度 実績報告書

高等植物における新奇オーキシン代謝酵素の探索および生理的機能の解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J06665
研究機関東京農工大学

研究代表者

田中 慧太  東京農工大学, 連合農学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワード植物ホルモン / オーキシン / シロイヌナズナ / 代謝
研究概要

オーキシン代謝経路の生理的機能を解明するには, 代謝物の定量分析技術が必要不可欠である. 本年度は, インドール-3-酢酸(IAA)の代謝物である2-オキシインドール-3-酢酸(OxIAA)と, OxIAAのグルコース結合体であるOxIむAA-glucoside(OxIAA-Glc)の, 液体クロマトグラフィー・エレクトロスプレーイオン化・タンデム型質量分析装置(LC-ESI-MS/MS)による分析法を確立した. この手法を用いてシロイヌナズナの各組織に含まれるIAA代謝物を定量した結果, 花芽や果実はOxIAA内生量が著しく多いことが分かった. これまで部位別にOxIAAとOxIAA-Glcを分析した例は報告されていないことから, 本研究の成果は新規性と重要性が高いといえる. 続いて, 花芽を材料にしてcDNAライブラリーを作成し, ナショナルバイオリソースプロジェクトから入手した出芽酵母YMK683株に導入してスクリーニングを行なった. その結果, 当初に予想した通り, IAA代謝に寄与する可能性がある遺伝子が複数見つかった. これらの遺伝子の中には酸化酵素をコードすると予想される遺伝子も含まれていた.
上記の実験と並行して, OxIAAのグルコシル化を触媒する新奇酵素を探索した. 生化学的手法を用いて, シロイヌナズナのUDP-glycosyltransferase(UGT)ファミリーに属する酵素群の活性を調べた結果, UGT74D1を有力な候補として選抜した. LC-ESI-MS/MSを用いてugt74d1欠損変異体シロイヌナズナを分析したところ, 野生型植物の約2.5倍のOxIAAが蓄積していた. 一方, OxIAA-Glcの量は野生型植物の約15%まで低下していた. これらの結果から, UGT74D1がシロイヌナズナの主要なOxIAAグルコシル化酵素だと結論した. さらに, 過剰発現体植物の表現型を解析し, UGT74D1がオーキシン濃度調節に寄与することを示した. すなわち, 代謝を介したオーキシン濃度調節機構の解明に大きく貢献する成果が得られた.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

まず, 研究の目的に示した通り, IAA代謝物を植物体から抽出して定量する方法を確立した. その手法を用いて, OxIAAを介した代謝経路が活発に機能する可能性が高い組織を見つけることに成功した. 続いて, 新たに構築したスクリーニングによって, インドール環2位の酸化に寄与する酵素をコードする可能性がある遺伝子を複数獲得できた.

今後の研究の推進方策

スクリーニングによって獲得した候補遺伝子を大腸菌に異種発現させ, 精製タンパク質の酵素活性を確かめる. また, 候補遺伝子の過剰発現変異体を作出すると同時に, 欠損変異体株を入手する. それらの表現型を解析するとともに, LC-ESI-MS/MSを用いてIAA関連化合物を分析し, 遺伝子の機能を推定する. これらの実験と並行してスクリーニングを継続し, 新たな候補遺伝子を探索する.
また, OxIAAグルコシル化酵素をコードするUGT74D1のプロモーター : レポーター植物を作出し, インドール環2位の酸化を介した代謝経路が機能する場所と部位を推測する.

  • 研究成果

    (2件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (1件) (うち査読あり 1件) 学会発表 (1件)

  • [雑誌論文] UGT74D1 catalyzes the glucosylation of 2-oxindole-3-acetic acid in the auxin metabolic pathway in Arabidopsis.2014

    • 著者名/発表者名
      Keita Tanaka, Ken-ichiro Hayashi, Masahiro Natsume, Yuji Kamiya, Hitoshi Sakakibara, Hiroshi Kawaide and Hiroyuki Kasahara
    • 雑誌名

      Plant and Cell Physiology

      巻: 55 ページ: 218-228

    • DOI

      10.1093/pcp/pct173

    • 査読あり
  • [学会発表] インドール環の酸化を伴うIAA代謝経路に関与する配糖体化酵素の同定2013

    • 著者名/発表者名
      田中 慧太, 林 謙一郎, 夏目 雅裕, 神谷 勇治, 榊原 均, 川出 洋, 笠原 博幸
    • 学会等名
      植物化学調節学会 第48回大会
    • 発表場所
      新潟大学(新潟県, 新潟市)
    • 年月日
      20131031-1101

URL: 

公開日: 2015-07-15  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi