研究課題/領域番号 |
13J06705
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研究機関 | 早稲田大学 |
研究代表者 |
上田 学 早稲田大学, 文学学術院, 特別研究員PD
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キーワード | データベース / 地域性 / 芸術諸学 / 近・現代史 |
研究概要 |
本研究は、大正期における日本映画の形成過程を、受容論の視点を踏まえて明らかにすることを目的としており、今年度は主に二つの資料コレクションを対象に研究をおこなった。ひとつは、早稲田大学演劇博物館が所蔵する、明治大正期の無声映画フィルムである。これらは1900年代から1910年代にかけて日本映画が形成されていく時期に製作された、本研究の重要な研究対象のひとつである。現存率が極めて低い、当該期の作品について、本研究は同時代の上映状況や、博物館の所蔵に至る経緯を明らかにするなど、基礎的な調査をおこない、その成果を発表した。もう一つは、北九州市松永文庫が所蔵する、映画興行関連資料である。これは、これまで等閑視されてきた地方映画史、とりわけ国内の興行分野において重要な位置を占めていた北九州地域の映画興行の実態を、受容論の視点から明らかにしうる資料であり、今年度は、その所蔵状況および歴史背景を調査し、分析した研究内容の一部を口頭発表した。 さらに、関東大震災で再建される以前の映画館について、新聞、雑誌、プログラム等の調査分析にもとづき、国際シンポジウムで口頭発表をおこなった。その過程で、シンポジウムの会場となったボン大学における、日本映画関連のSPレコードの所蔵状況が明らかになり、これは次年度からの継続的な実地調査へと発展する見込みである。また関連して、近代日本の映画前史の視覚文化興行を明らかにすべく、映画興行への影響関係を視野に入れた資料調査をおこない、その研究成果を論文にまとめた。 このほか、本研究が前提とする、日本映画というナショナルシネマの概念的枠組みについて、それを批判的に考察する試みとして、満洲映画協会および植民地期朝鮮映画に関する研究をおこなった。これらの研究対象にっいては、その影響関係において、日本映画の形成過程という観点からも再考の余地があり、次年度も継続して研究を実施する。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は、大正期の無声映画に関する、新資料の発掘収集が順調に進んでおり、その分析にもとづき、本研究の主題である、日本映画の形成過程に関する、基礎的な研究も進展したため。
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今後の研究の推進方策 |
前年度から継続して新資料の発掘収集に努める。とりわけ、前年度に実施できなかった、国外のフィルムアーカイブ等の研究機関における資料調査を、積極的におこなうことで、さらなる研究内容の深化を図る。また、収集した情報のデータベース化を進め、資料の新たな解釈に活用していく。
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