研究実績の概要 |
運動学習の統一理論モデルの構築・応用を目指す本課題であるが、本年度はこの課題が達成できたといっても過言ではない。まず第一に、今まで再現されてこなかったランダム学習を再現するための数学的根拠に基づき、"我々は運動する前から暗黙の内に誤差を予測しており、その誤差の予測が脳活動に影響を与える"という要素をもつ新たな運動学習モデルを提案した。その結果、提案モデルはランダム学習のみならず、既存のモデルでは別々に再現されてきた8個以上の現象を同じ枠組みで同じパラメータで統一的に再現できることを確認した。さらに、提案モデルのみが予測できる効果的なトレーニング方法の存在も示した。そのトレーニング方法とは、"どんなに達成困難な運動でも2回続けて運動することで学習効果が得られる"というものである。事実、この予測が正しいことを実験的に実証した。
本年度は、以上の結果を論文として出版するに至った(Takiyama, HIrashiam, Nozaki, 2015, Nature Comm)。さらに、より脳に近いモデルへ発展するために、運動学習モデルに新たな評価関数を導入すること(Takiyama, 2015, Front Compt Neurosci)や脳活動を再現するモデル(Takiyama, 2015, Sci Rep)も提案した。
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