すばる望遠鏡の次世代超広視野カメラを用いた大規模探査により構築される低光度活動銀河核のサンプルを用いる事で、初期宇宙における低光度活動銀河核の個数密度及び低光度活動銀河核の存在する暗黒物質ハローの質量を推定し、巨大ブラックホールの進化に制限をつける事が目的である。この目的を早期に達成するためには、効率よく低光度活動銀河核の大規模サンプルを構築する必要がある。 そのため、すばる望遠鏡の次世代超広視野カメラを用いた大規模探査が始まる前に、既に取得されているアーカイブデータを使用する事で、初期宇宙における低光度活動銀河核の候補天体を選出した。さらに2013年9月には、ハワイ島マウナケアにあるGemini望遠鏡の多天体分光装置を用い、初期宇宙における低光度活動銀河核の候補天体の分光フォローアップ観測を行った。現在は取得されたデータの解析中であるが、観測中に行った簡易解析によると少なくとも4天体は低光度活動銀河核であると確認できている。このサンプルを使用することで、まだ精確に見積もられていない初期宇宙における低光度活動銀河核の個数密度を計算する予定である。 また、すでに発見されている初期宇宙における低光度活動銀河核のサンプルと初期宇宙における銀河サンプルを用いて、活動銀河核と銀河の相互相関関数の計算を行った。誤差は大きいが明るい銀河との相関を計算した方が活動銀河核から近い距離で相関が強いという結果が得られた。さらに、初期宇宙における低光度活動銀河核と銀河の相互相関関数の計算結果と銀河の自己相関関数の計算結果を利用することで、初期宇宙における低光度活動銀河核の存在する暗黒物質ハローの質量を推定した。その結果、過去の研究で調べられていた明るい活動銀河核の存在する暗黒物質ハローの質量と同程度であることが今回の研究で明らかになった。今年度行った研究成果については、新しい観測結果が含まれているため、現在この結果を論文として投稿予定である。
|