研究課題/領域番号 |
13J06887
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研究機関 | 北海道大学 |
研究代表者 |
下田 洋輔 北海道大学, 大学院生命科学院, 特別研究員(DC2)
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キーワード | クロロフィル / 光化学系 / シロイヌナズナ / クラミドモナス |
研究概要 |
本研究では、クロロフィル(Ch1)代謝経路の中で唯一、未同定である酵素Mg-dechelataseを決定することを、目的とする。本年度は、クラミドモナスを用いたMg-dechelatase遺伝子のスクリーニングを実施した。具体的には、薬剤耐性遺伝子をタグとした変異体のプールを作製した。72000株の変異体プールの中から、Chl蛍光を指標とした光化学系II異常変異体の一次スクリーニングを行った結果、光化学系II異常変異体132株を単離した。次に、Pheophytin aの有無による二次スクリーニングを行った結果、光化学系II活性の低下に応じて、Pheophytin a量が低下する傾向が得られた。網羅的に光化学系II異常変異体においてTAIL-PCRにより薬剤耐性マーカーのゲノム上の挿入部位を決定したところ、88株については、タグの挿入位置を決定することができた。既報で報告されている光化学系II異常に関する遺伝子の付近にタグの挿入が確認された。また、タグの挿入位置が近接しているものが複数株あり、かつタグの近接付近にはこれまでに報告されている光化学系II異常に関する遺伝子が確認できなかった株があり、光化学系II異常に関する独立した8つの遺伝子座があった。これらの株において、光化学系II異常に関する新規な遺伝子があると考えられた。その中の1つは、植物の老化時に葉緑体で発現する機能未知の遺伝子が含まれていた。この遺伝子をMg-dechelatase候補遺伝子として、さらなる解析を進めている。現在は、候補遺伝子の組み換えタンパク質によるMg-dechelatase活性検出と並行して、シロイヌナズナによる候補遺伝子の形質転換体を作成して、この遺伝子がMg-dechelataseであるかどうかの最終的な結論を導こうとしている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度に実施したMg-dechelatase遺伝子のスクリーニングにより、Mg-dechelatase遺伝子の候補を挙げることができたため。予備的な結果であるが、シロイヌナズナのMg-dechelatase候補遺伝子の形質転換体の解析により、今回見つけた遺伝子がCh1分解に関与していることがわかっているため。また、スクリーニングの過程で、光化学系II形成に関与する新規因子を複数同定することができたため。
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今後の研究の推進方策 |
組み換えタンパク質によるMg-dechelatase活性検出と並行して、シロイヌナズナによる候補遺伝子の形質転換体の解析して、この遺伝子がMg-dechelataseであるかどうかの最終的な結論を導く予定である。
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