研究課題/領域番号 |
13J06922
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鹿児島 渉悟 東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 物質循環 / 火山 / マントル / 海洋 / 大気 / 希ガス / 硫黄 / ハロゲン |
研究実績の概要 |
本研究の目的はマントル-大気-海洋間の揮発性元素の物質循環を明らかにすることであり、それに関連する実験や成果報告を行った。世界各地の代表的な海底火山で採取された岩石試料に含まれる揮発性元素を、質量分析計やクロマトグラフィー装置, NanoSIMSで分析した。また、火山ガス試料や堆積物試料も分析し、陸上火山に関するデータも増やした。 対象元素の一つである硫黄に関する成果は、Nature系列の学術雑誌であるScientific Reportsや国際学会において報告を行った。これらの論文は、詳細に見積もられていなかった硫黄のマントル-地球表層間におけるグローバルな物質循環を、明確に物質循環が分かっている希ガス元素のヘリウムを基準にして推定した先駆的な研究成果を報告している。さらに硫黄と同様に、ヘリウムを基準にして炭素の物質循環の推定も行った。その結果、現在の地球大気・海洋中に存在する硫黄と炭素はともに上部マントル由来であることが分かった。 NanoSIMSを用いた微小領域における塩素同位体分析手法を開発し、アメリカの国際学会で報告した。また、神奈川県の学会では、岩石試料の揮発性元素組成を基に推定したハロゲンのフラックスを報告した。そして、より精密にハロゲンの物質循環を議論するために、岩石試料に中性子を照射することでハロゲン元素を希ガス元素に変換したあと、それらを希ガス用質量分析計で測定することで、議論に必要なデータを増やした。この実験はイギリスのマンチェスター大学に出張して行った。 堆積物中のフッ素の分析を行うために、ピストンシリンダー等を用いて溶融した堆積物試料を急冷することでガラス化して、NanoSIMS用試料を作成する実験を行った。これらをNanoSIMSで分析することで、堆積物中のフッ素を含むハロゲンの組成が得られるだろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
研究計画調書に記載の通り、海底火山で採取された岩石試料や堆積物試料, ジルコン, ジルコン中アパタイト包有物の分析を行った。また、硫黄の物質循環に関する成果は国際誌に掲載された。中性子照射試料の分析などは調書に記載されていないが、効率的な研究課題遂行のために不可欠であると判断したため実施した。
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今後の研究の推進方策 |
研究計画調書に記載の内容に従い研究を進める。 NanoSIMSによる塩素同位体分析と、中性子照射試料分析のデータを基に、それぞれ一報ずつ論文を執筆し、平成27年度中に国際誌に投稿予定である。
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備考 |
上から UTokyo Research News 東京大学大気海洋研究所プレスリリース に掲載
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