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2013 年度 実績報告書

Smad2欠損による抑制性樹状細胞の作成とその寛容誘導機構の解明

研究課題

研究課題/領域番号 13J07008
研究機関慶應義塾大学

研究代表者

柏木 一公  慶應義塾大学, 医学研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード樹状細胞 / TGF-β / PGN / c-Fos / Smad / オートクライン
研究概要

私は免疫抑制に働くtolerogenicDC (tDC)の発生機構を明らかにすることを目的とし、そのようなtDCを用いた免疫疾患モデルや移植モデルに適応して新しい治療法を模索することを目標に昨年度の研究を行った。本研究ではまず免疫抑制性に働くサイトカインであるTGF-βに着目し、樹状細胞におけるその分泌機構を明らかにすることとした。まず樹状細胞からのTGF-β分泌がグラム陽性細菌の膜主要成分であるペプチドグリカン(PGN)であることを見出し、PGNがToll様受容体2 (TLR2)のリガンドであることから、TLR2の下流でどのようなシグナルが機能しているのかを調べたところ、c-Fosの発現が見られた。さらにc-Fos及びc-JunがPGNでの刺激後にTGF-βのプロモータ領域にリクルートされてくるということを見出した。これにより、c-Fos及びc-Junから構成されるAP-1がTLR2の下流でTGF-βの分泌に働いていることが示唆された。さらに各種阻害剤を用いたスクリーニングにより、TGF-β受容体の機能を阻害した際に樹状細胞からのTGF-βの分泌が減少することが分かったため、TGF-βのオートクライン作用を調べることとした。そこでTGF-βの下流で働く転写因子であるSmad2及びSmad3を欠損させた樹状細胞の作用を解析したところ、Smad2を欠損させた際にはTGF-βの分泌量が上昇し、逆にSmad3を欠損させた際には著しくこれが減少することが分かった。Smad2及びSmad3はTGF-βによってリン酸化されて活性化した後、ともにSmad4とヘテロ三量体を形成して核内へ移行して転写活性を持つが、TGF-βのオートクライン作用においてはSmad3のみがアセチルトランスフェラーゼp300と結合してTGF-βのプロモータ領域にリクルートされることが分かった。樹状細胞が抑制性サイトカインであるTGF-βを分泌することはtDCとしての機能の最も重要な要素の1つであり、そのオートクライン機構におけるSmad2及びSmad3の異なる機能はこの恒常性において重要な働きを持つと考えられる。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

申請者は樹状細胞におけるTGF-βの分泌機構を調べる上でTLR2のリガンドであるPGNの重要性を見出し・グラム陽性菌であるクロストリジウム(C. butyricum)を共同研究者より分与され、さらにその解析を進めることができた。これは腸内におけるこれらグラム陽性菌とグラム陰性菌の免疫寛容誘導機構の違いを見出すために重要な実験であるため。

今後の研究の推進方策

今後はTGF-βの分泌を促すクロストリジウム属の腸内細菌の同定や、及びその他のどのような細菌がこれを促して腸内における恒常性を維持しているのかという解析を進める予定である。

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公開日: 2015-07-15  

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