研究概要 |
本研究では細胞分化における時系列遺伝子発現データを用いて細胞分化全体の動的な遺伝子制御ネットワークの変化を解析することで, 細胞分化過程に寄与する遺伝子の推定や細胞分化の機構, 細胞分化過程のシミュレーション手法を作成することを目的としている. それにより, 動的な遺伝子制御ネットワークの変化及び, 生体内の遺伝子全体での遺伝子制御ネットワークの挙動が明らかになり, 細胞分化に寄与する遺伝子の推定とその挙動のシミュレーションが可能になると期待される. そのため、時系列発現データを生物学的な知見に従って分割, ダイナミックベイジアンネットワーク(DBN)推定ソフトウェアSiGNの拡張, 推定された遺伝子制御ネットワークの評価手法の決定を行う計画を実施した. 本年度では, 時系列発現データをスライディングウィンドウ法によって分割し, 得られた複数の時系列発現データからSiGNによって複数のDBNを推定することで, 時間の順序を持つ動的な遺伝子制御ネットワークの推定を行った. この手法によって細胞分化における遺伝子制御ネットワークの変遷を確認することができるようになった. また, ベイジアンネットワークの評価尺度としてBNRCを用いて, より入力データを表すネットワークとなる分割位置を求めることができるようになった. これらによって得られた, 時系列発現データを分割して複数の遺伝子制御ネットワークによって細胞分化過程における遺伝子制御ネットワークの変遷を確認する手法を成果としてBIOCOMP'13とJSBi2013にて研究発表を行った.
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