研究課題
ASTRO-H 衛星搭載軟ガンマ線検出器 (SGD) の新しいエネルギー較正法を開発し、シミュレーションと実機データを用いて従来のエネルギー較正法よりも精度・効率が良いことを示し、シアトルで行われた国際会議に参加してこれらの結果について口頭発表を行った。NASA のゴダード宇宙飛行センターのソフトウェアチームと数回にわたり顔合わせ会議を行い、私が開発した SGD のイベント再構成アルゴリズムを ASTRO-H 衛星基本データ処理ツールとして配布する準備を前年度から引き続き行っている。また、筑波宇宙センターで行われた SGD フライトモデルの一連の最終試験に参加した。SGD の狭視野半導体多層コンプトンカメラのコンセプトを、私が前年度に開発したアルゴリズムを用いて世界で初めて実証した。この結果は論文投稿準備中である。銀河団のデータ解析の情報収集のため、2014年5月26日から2014年8月27日の3ヶ月間にわたり、米国の Stanford 大学の Steve Allen 教授と SLAC 国立加速器研究所の Greg Madejski 博士の元へ滞在した。Stanford 滞在中には情報収集の他にも、銀河団の研究成果のセミナーを行い、また国際ワークショップにおいても研究成果の発表を行った。銀河団の解析の結果は論文として出版された。広島大学で行われた国際ワークショップにおいても、銀河団の形態という視点からの研究発表を行った。引き続き銀河団の研究も進めている。現在は新たなターゲットのデータ解析を行っている。
2: おおむね順調に進展している
私が開発したアルゴリズムを公式ソフトウェアとして配布するための準備が順調に進んでいる。SGD フライトモデルも完成し、世界で初めてコンセプトの実証を行うことができた。銀河団の研究結果は投稿論文として出版された。したがって順調に進展していると言える。
年度末の打ち上げに向けて、フライト品の実機データを用いて、モンテカルロシミュレータや解析データベースなどの詳細を詰める(シミュレーションのパラメータや解析パラメータの最適化など)。銀河団のデータ解析も続ける。SGDで新しく可能となるサイエンスについては、実際の初期運用スケジュールとも比較しながら、どのようなスケジュールや観測方法がいち早く良い結果を出せるかを、戦略的に計画する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (3件) (うち査読あり 3件、 オープンアクセス 1件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件)
Nuclear Instruments and Methods in Physics Research Section A: Accelerators, Spectrometers, Detectors and Associated Equipment
巻: 印刷中 ページ: 印刷中
10.1016/j.nima.2014.11.119
Monthly Notices of the Royal Astronomical Society
巻: 448 (3) ページ: pp2971-2986
10.1093/mnras/stv217
巻: 765 ページ: pp192-201
10.1016/j.nima.2014.05.127