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2014 年度 実績報告書

SPring-8 放射光を用いた meV - eV 領域のアクシオン検出

研究課題

研究課題/領域番号 13J07172
研究機関東京大学

研究代表者

稲田 聡明  東京大学, 理学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード素粒子 / アクシオン / SPring-8 / パルス磁場
研究実績の概要

QEDを超えた物理に起因するアクシオンなどの未発見素粒子を探索している.これらの粒子は磁場中で光子と弱く相互作用すると考えられているため,X線→未知粒子→X線と変換して探索する.本年度における主な成果は以下の通りである。
探索の鍵となるパルス電磁石については,製作を開始した前年度時点で6.9 Tであった最大磁場強度が,本年度で14.4 Tへと向上した.その際磁石の製作と試験を本実験室で一元化して開発速度を高速化する環境を整備した.
探索の感度を上げるためには強度ばかりでなく磁場発生の繰り返しを高速化する必要がある.繰り返しは磁石の冷却効率で制限され,磁場発生時の発熱を冷却材である液体窒素へ効率よく逃がす構造が必要となる.発生応力の低い箇所に対する補強を軽くすることで冷却効率の改善が見られた.
磁石にパルス電流を供給するバンクについては,繰り返し運転可能な低電圧型のプロトタイプ(1 kV, 1.6 mF)を製作し,磁石の性能評価に使用している.本測定ではこれを4.5 kV, 3 mFへとアップグレードする予定で,現在製作が進行している.
またSPring-8 BL19においてビームタイムを取得し,上記の磁石2つとプロトタイプ電源を持ち込んでアクシオン探索のテスト測定を行った.ビームに対する磁石の位置決めなどの手順を確立して本測定への足掛かりとした.

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

磁石に関しては,本研究室においてその製作(コイル巻き,外部補強,絶縁剤硬化)から性能評価(発生磁場強度,繰り返し時の発熱)に至る全工程を一括して執り行う環境の構築が完了した.これにより磁石製作のR&Dが高速化し,磁場強度に加え磁場発生効率および冷却効率に優れた磁石が概ね完了した.またそのような磁石の量産化にも成功している.
磁石を運転するバンクに関しては,プロトタイプとなる低電圧仕様のものを製作し,さらに「ロスのみ充電」型へと改良して,繰り返し運転の高速化が達成された.

今後の研究の推進方策

現在はバンクのアップグレードが進行中で,次年度前半に完了する予定である.複数の磁石とアップグレードされた電源を用いて次年度に長期測定を行う予定であり,現在その準備が進行している.

  • 研究成果

    (5件)

すべて 2015 2014

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (3件) (うち招待講演 1件)

  • [雑誌論文] Search for Photon-Photon Elastic Scattering in the X-ray Region2014

    • 著者名/発表者名
      T. Inada, T. Yamaji, S. Adachi, T. Namba, S. Asai, T. Kobayashi, K. Tamasaku, Y. Tanaka, Y. Inubushi, K. Sawada, M. Yabashi, T. Ishikawa
    • 雑誌名

      Physics Letters B

      巻: 732 ページ: 356-359

    • DOI

      10.1016/j.physletb.2014.03.054

    • 査読あり / オープンアクセス / 謝辞記載あり
  • [雑誌論文] 高輝度放射光を用いた未知の素粒子探索実験2014

    • 著者名/発表者名
      難波俊雄, 稲田聡明, 浅井祥仁
    • 雑誌名

      日本放射光学会誌

      巻: 27 ページ: 204-209

    • 査読あり / オープンアクセス
  • [学会発表] SPring-8/SACLA におけるパルス強磁場を用いた弱結合未知粒子の探索I2015

    • 著者名/発表者名
      稲田聡明
    • 学会等名
      日本物理学会第70回年次大会
    • 発表場所
      早稲田大学(東京都,新宿区)
    • 年月日
      2015-03-21 – 2015-03-21
  • [学会発表] 高輝度X線を用いた素粒子実験2014

    • 著者名/発表者名
      稲田聡明
    • 学会等名
      奈良先端未来開拓コロキウム2014
    • 発表場所
      奈良先端大学(奈良県,生駒市)
    • 年月日
      2014-10-22 – 2014-10-22
    • 招待講演
  • [学会発表] SPring-8/SACLA におけるパルス強磁場を用いた弱結合未知粒子の探索I2014

    • 著者名/発表者名
      稲田聡明
    • 学会等名
      日本物理学会 2014 年秋季大
    • 発表場所
      佐賀大学(佐賀県,佐賀市)
    • 年月日
      2014-09-18 – 2014-09-18

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公開日: 2016-06-01  

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