研究課題
マクロライド系抗菌薬は抗菌作用以外に抗炎症作用を有することが知られており、病態が各々異なる炎症性肺疾患に対して幅広く有用性が報告され、新たな治療法として期待されている。マクロライド系抗菌薬が抗炎症作用を発揮するメカニズムに関する先行研究としては、肺胞マクロファージからの炎症性サイトカイン産生抑制、気道上皮細胞からのIL-8等の好中球遊走因子抑制やムチン産生抑制など、いずれも液性因子に関する研究が主であり、マクロライド系抗菌薬自身が、宿主側の免疫抑制性の細胞集団を誘導するかということに注目した先行研究はない。マクロライド系抗菌薬が宿主に及ぼす免疫機構を細胞レベルで細密に検討することで、その抗炎症作用の本体に迫り、炎症性肺疾患の新たな治療法の開発につながると考え、研究を進めた。通常マウスに腹腔内投与及び経口投与した所、肺と脾臓にCD11b(+)Gr-1(+)cellsという免疫抑制性の細胞集団を認め、このクラリスロマイシンによって誘導され、抗炎症作用を有するCD11b(+)Gr-1(+)cellsはLPS腹腔内投与ショックモデルの予後を改善させた。
2: おおむね順調に進展している
計画通りに進んでいる。
通常マウスに腹腔内投与及び経口投与した所、肺と脾臓にCD11b(+)Gr-1(+)cellsという免疫抑制性の細胞集団を認めた。現在まで、このような細胞集団の報告はなく、CAMにより誘導されるCD11b(+)Gr-1(+)cellsがマクロライド系抗菌薬の抗炎症作用の本態を担っている可能性があり、さらなる解析を進めると共に、ヒトにおける免疫抑制性細胞集団の誘導に関しても詳細な解析を進めていく予定である。
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Mediators Inflamm
巻: undecided ページ: undecided
10.1155/2013/264260