研究課題/領域番号 |
13J07247
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
津釜 大侑 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 浸透圧応答 / タンパク質相互作用 / 転写制御 / 信号伝達 |
研究概要 |
本年度は以下の四項目の解析を行った。 (1) VIP1とAGB1との相互作用に関する解析 AGB1はシロイヌナズナのヘテロ三量体Gタンパク質βサブユニットであり、形態や種々の刺激応答性を制御するタンパク質である。酵母ツーハイブリッド法によるスクリーニングによりVIP1とAGB1が酵母細胞内で相互作用することが示唆されたため、これらの因子間の相互作用について追究した。その結果、VIP1とAGB1がin vitro及び植物細胞内においても物理的に相互作用し、植物細胞においては、浸透圧の変化に応じてVIP1-AGB1複合体の細胞内局在が変化することが明らかになった。一方、AGB1を欠損した変異体においてもVIP1の細胞内局在の変化のパターンや生理的機能は維持されており、VIP1-AGB1相互作用の持つ意義(互いの機能に与える影響)は不明であった。 (2) VIP1と遷移金属との相互作用に関する解析 (1)において、精製したVIP1を用いて解析を行っていたところ、VIP1がニッケルに対する結合能を持っことを見出した。金属は一般にタンパク質の補因子として機能しうることから、VIP1の金属結合性について更に評価した。その結果、VIP1はニッケルに加えて亜鉛とコバルトにも結合し、コバルトはVIP1のDNA結合能に影響しうることが示唆された。 (3) VIP1相同因子の機能解析 シロイヌナズナにはVIP1に似たアミノ酸配列を持つ因子が十以上存在する。これら(をコードする遺伝子)の機能について解析を行った結果、これらがVIP1と同程度に発現しており、VIP1と同様の細胞内局在の変化のパターンを示し、VIP1と同様に転写活性化能を持つことが示唆された。 (4) VIP1結合配列の同定 CYP707A1、CYP707A3なる低浸透圧応答性遺伝子のプロモーターにVIP1は結合するが、それがAGCTGT又はAGCTGG (AGCTGT/G)を介したものであることを明らかにした。先行研究においてマイクロアレイ解析により低張液処理で発現が上昇する遺伝子が調べられていたが、それら遺伝子のプロモーターにおけるAGCTGT/Gの出現頻度はゲノム上の全遺伝子のプロモ一ターにおけるAGCTGT/Gの出現頻度より高く、AGCTGT/Gが低張液応答性遺伝子の発現に関与することが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ほぼ当初の計画通りに解析を進めることができたため。
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今後の研究の推進方策 |
現在まで本研究は順調に進んでおり、特記すべき推進方策はない。今後も予定通り研究が進むよう努めたい。
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