研究概要 |
近年, 衛星センサネットワークを利用した災害予測や環境観測への期待が高まっており, 東日本大震災を経て衛星センサネットワークによる地震観測や津波検知の実現が特に注目を集めている. 衛星を用いたセンサネットワークでは, 限られた衛星リソースの中で多数のセンサ端末との通信を実現する必要がある. そこで本研究では多数のセンサ端末から発生するデータを効率的に収集するための新しいメカニズムの開発を目指している. 本年度は, センサネットワークと衛星ネットワークを融合する際に考え得る問題点についてまず調査・検討を行った. これにより, 多数のセンサ端末からリアルタイムにデータを収集するためには限られた衛星搭載リソースを適切に配分し通信を実現する必要が明らかとなり, 取り組むべき課題が明確化された. この調査・検討を基に示された課題を解決するために研究を行い、多数のセンサ端末が収容される中でデータのリアルタイム性が求められるような環境においても柔軟に通信を行える手法の提案を行った. また, この提案手法を評価するために, 想定する衛星センサネットワーク上における提案手法の動作を数学的にモデリングし, 数値計算による評価を行い提案手法の有効性を確認した. なお, 地上に配置されるセンサの数が今後増加を続けることは容易に想像でき, そのような環境を想定した場合において, 地上センサ間におけるクラスタリングや相互通信等の協調動作についても検討することは大変重要であり, 今後の課題の1つである.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本年度は, 当初の予定通り衛星センサネットワークにおいて多数のセンサ端末から発生するデータを効率的に収集するための新しい方式を提案し, その性能を評価実験において確認するに至った. また, 次世代の衛星センサネットワークに必要な機能・性能についても調査・検討を進めており, 本研究の目的から鑑みても本研究はおおむね順調に進展しているといえる.
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今後の研究の推進方策 |
今後デバイスの性能向上や通信機器の発展等によって, 想定する衛星センサネットワークにおいてより多数のセンサ端末が通信要求を発し, かつ要求される通信性能はより高いものへとなっていくことが予想される. そのため, このような環境においても適切にネットワークリソースを配分しデータ収集を実現するためのネットワークシステムが必要とされる. そこで, 今後は地上センサ間のクラスタリングや相互通信等の協調動作についても検討を行い, その上で次世代の衛星センサネットワークシステムの構築を行っていく.
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