研究課題
ファイトプラズマは、形態異常を伴うユニークな病徴を引き起こすという特徴がある。特に花器官の葉化症状は、ファイトプラズマ独自の病徴であり、この病徴を呈した植物は、かつては珍重され品種として市場に出回るほど鑑賞的価値が高かった。しかしながら、葉化症状の誘導に関わる分子メカニズムは謎に包まれたままであった。本研究は、ファイトプラズマが引き起こす花器官の葉化症状には、ファイトプラズマより分泌される『葉化因子』が関与しているとの推測のもと、葉化因子を同定するとともに病徴発現に至る分子メカニズムの全容解明を目的とした。当該年度は、葉化因子と直接相互作用する植物因子を探索した。その結果、葉化因子が植物の花成に関与するある特定のMADS-box転写因子群と結合することを明らかにし、さらに、分解や発現変動といった影響を引き起こすことを明らかにした。花成に関与するMADS-box転写因子は、その機能が阻害されることで葉化を引き起こすことが知られており、葉化因子は直接その因子をターゲットにすることで効果的に花形成プロセスを阻害し葉化を引き起こしていると考えられた。以上より、ファイトプラズマが葉化症状を引き起こす際のファイトプラズマ側および宿主植物側のメカニズムが明らかになった。さらに、葉化因子の導入または、特定のMADS-box転写因子の機能阻害によって花葉化を引き起こすことで新たな園芸品種の開発につながると考えられた。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
すべて 2015
すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件、 オープンアクセス 2件) 学会発表 (1件)
Plant Signaling & Behavior
巻: 10 ページ: e1042635
DOI: 10.1080/15592324.2015.1042635
Scientific Reports
巻: 5 ページ: 11893
DOI: 10.1038/srep11893