研究課題/領域番号 |
13J07391
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
萩原 啓太郎 東京工業大学, 大学院生命理工学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 天然化合物 / マイクロRNA / 乳がん / スクリーニング |
研究概要 |
本研究では、種々の既知天然化合物の抗がん作用の評価と作用点の同定について明らかにしていくことを目的にしている。平成25年度には、miR-200cの相補鎖をルシフェラーゼ遺伝子の下流に組み込んだレポーターベクターを作製した。このベクターを用いることで、内在性のmiRNAの発現上昇を、qRT-PCR法を用いずにハイスループットに確認することが可能になった。作製したベクターを乳がん細胞株であるMCF-7細胞に導入して、miR-200cの発現をリアルタイムに解析することが可能なアッセイ系を確立した。さらに、selleckchem社製の天然化合物ライブラリー(139種類)を用いたスクリーニングを行い、リコリスに多く含まれるEnoxolone、ホオノキに多く含まれるMagnolo1、黄連に多く含まれるPalmatine Chlorideといった3種類の天然化合物が候補化合物として同定された。これら、3つの天然化合物を10μMの濃度で添加することで、乳がん細胞株でのmiR-200cの発現がコントロールと比較して1.5倍上昇した。さらに、miR-200cは浸潤能抑制能を持つことより、マトリゲルを用いて浸潤活性能を測定した。これら3種類の化合物を乳がん細胞株に10μMの濃度で添加したところ、コントロールと比較して60%浸潤能を抑制した。これらの結果より、本アッセイ系はmiRNAを制御する天然化合物のスクリーニング系に有用なことが示唆された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
2年目に行う予定であった化合物のスクリーニングのアッセイ系を確立し、また候補化合物まで同定できたため。
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今後の研究の推進方策 |
スクリーニングによって同定された天然化合物がもつ抗がん作用とmiRNA発現制御機構の関係を明らかにする。同時にこれまで解析した抗がん作用が確認されている既知の天然化合物と新規の天然化合物が生体内の恒常性維持をどのように行なっているかを理解し、生体が食事内の天然化合物を用いて病気を防ぐかを考察し、病気の予防への概念を確立する。
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