研究課題
平成26年度における本研究では、種々の既知天然化合物の抗がん作用の評価と作用点の同定について明らかにしていることを目的にしている。昨年度までの研究成果として、リコリスに多く含まれるEnoxolone、ホオノキに多く含まれるMagnolol 、黄連に多く含まれるPalmatine Chlorideといった3種類の天然化合物が候補化合物として同定された。これら、3つの天然化合物を10μMの濃度で添加することで、乳がん細胞株でのmiR-200cの発現がコントロール群と比較して1.5倍上昇した。さらに、miR-200cは浸潤能抑制能を持つことより、マトリゲルを用いて浸潤活性能を測定した。これら3種類の化合物を乳がん細胞株に10μMの濃度で添加したところ、コントロール群と比較して60%浸潤能を抑制した。本年度は、同定した3つの化合物に関して更なる詳細な解析を行った。これら3種類の化合物を乳がん細胞株に10μMの濃度で添加したところ、miR-200cの標的遺伝子であるZEB-1の発現が抑制された。また、Vimentinやc-MetといったEMTマーカーを検討したところ、これら3種類の化合物を乳がん細胞株に10μMの濃度で添加したとき、コントロール群と比較してVimentinとc-Met遺伝子の発現が減少した。これらの結果より、本アッセイ系はmiRNAを制御する天然化合物のスクリーニング系に有用なことが示唆された。そして、これまでの研究成果をまとめて、現在論文投稿中である。
1: 当初の計画以上に進展している
候補化合物まで同定し、その研究結果を論文として報告することができたこと。
スクリーニングによって同定された天然化合物がもつ抗がん作用とmiRNA発現制御機構の関係を明らかにする。同時にこれまで解析した抗がん作用が確認されている既知の天然化合物と新規の天然化合物が生体内の恒常性維持をどのように行なっているかを理解し、生体が食事内の天然化合物を用いて病気を防ぐかを考察し、病気の予防への概念を確立する。
すべて 2015 2014
すべて 雑誌論文 (5件) (うち査読あり 5件、 オープンアクセス 2件、 謝辞記載あり 1件) 学会発表 (5件)
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