研究課題/領域番号 |
13J07448
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研究機関 | 奈良先端科学技術大学院大学 |
研究代表者 |
大倉 史生 奈良先端科学技術大学院大学, 情報科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 複合現実感 / イメージベースドレンダリング / 視点依存テクスチャマッピング / 仮想物体合成 |
研究概要 |
イメージベースドレンダリング(IBR)技法を用いた実写映像と仮想物体の合成手法を開発した。これにより、IBRによる現実空間の仮想化に基づく三次元視点移動を実現するとともに、IBRに基づく軽量・写実的な仮想物体合成を可能にした。さらに、平城宮跡を舞台として、提案手法を用いて過去の建造物の合成による時間方向の視点移動アプリケーションを構築した。具体的には、まず無人飛行船に搭載された全方位カメラを用いて空間的に密に空撮された画像群をもとに全自動で3次元モデルを復元した。次に、これを入力としてIBRの代表的な手法の一つである視点依存テクスチャマッピング(VDTM)法を適用することで、3次元視点移動を実現するアプリケーションを作成した。提案フレームワークは、オフラインで時間をかけてレンダリングすることによって得られたテクスチャを、ライティング結果や質感等を保ちながらIBRにより変形することで、従来のリアルタイムレンダリングでは成し得なかった高品質な合成結果を、軽量なオンライン処理で実現する。オフライン処理として、従来のIBRとは異なり、事前に格子または立方格子点上に設定された視点位置からの実空間の見えを生成する。さらに、各格子視点上に生成された画像群に、仮想物体を時間をかけて高品質に合成する。オンライン処理では、仮想物体が合成された格子視点画像群および、実空間と仮想物体の三次元モデルを用いて、計算量が削減されたVDTMにより提示画像を生成する。本処理では、仮想視点の4近傍に存在する格子点のテクスチャのみを三次元モデルに投影・混合することでテクスチャ選択のための計算量を削減する。実際に、従来のVDTMと比較し100倍程度の速度で自由視点合成画像を生成可能であることが実験により確認された。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究課題「四次元時空間を移動可能な自由視点画像生成」の根幹をなす研究要素は、拡張現実感、イメージベースドレンダリング、リライティングである。これらのうち、今年度はイメージベースドレンダリングを用いた拡張現実感技術についての研究に取り組み、現在までに一定の成果を見せている。具体的に、本研究課題に関連して査読付き論文誌論文1件および査読付き国際会議発表3件を発表した。
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今後の研究の推進方策 |
2年間の本研究課題のうち、2年目にあたる次年度は、イメージベースドレンダリング、リライティングおよび最新のコンピュータグラフィックス技術を総合的に用い、風景の日時や季節変化を実現する自由視点画像生成に主眼をおき研究を遂行する。イメージベースドレンダリングおよびリライティングについて、当該分野において世界有数の実績およびノウハウを持つ研究グループであるREVES, Sophia Antipolis, INRIAに1年間在籍し研究者としての経験を積むとともに、様々な環境・ユーザを対象とした手法およびシステムを構築し実験を行う。得られた成果を最高峰の国際会議や英文誌論文に投稿し、採録されることを目標とした質の高い研究を遂行する。
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