研究課題/領域番号 |
13J07518
|
研究機関 | 京都大学 |
研究代表者 |
直江 紗織 京都大学, 薬学研究科, 特別研究員(DC1)
|
研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
|
キーワード | 金触媒 / 共役ジイン / 連続反応 / 環化反応 / DFT計算 / 位置選択性 |
研究実績の概要 |
研究代表者は、以前に開発した金触媒による1,2-縮環インドール骨格構築反応の解析と応用に関する研究を行った。 (1) DFT計算による二段階目の環化反応の解析 本反応は、二段階目の環化が当初予想していた6-exo-dig型ではなく、7-endo-dig型で優先的に進行している点で興味深い。研究代表者の採用第1年度目の報告で、二段階目の環化における7-endo選択性は、インドールに縮環した環の形成における環歪みに由来すると予測していた。今回、共同研究者らがDFT計算を用いてより詳細な検討を行い、7-endo選択性は中間体の形成における速度論的および熱力学的安定性により合理的に説明できることが明らかとなった。研究代表者は当該年度にこれらの研究報告をまとめた論文を発表した。 (2) Conolidine基本骨格構築法の開発 研究代表者は、開発した本反応を基にconolidineの天然物合成に取り組んだ。Conolidineは東南アジア産薬用植物Tabernaemontana divaricataより単離されたインドールアルカロイドで、オピオイド系鎮痛薬特有の依存性や吐き気等の副作用を持たないため、新たな創薬シードとして期待されている。しかしながら、天然からの供給量は不十分で、その不斉全合成の報告は一例のみにとどまる。研究代表者が計画したconolidineの全合成経路では、二段階目の環化反応が6-exo-dig型で進行する必要がある。研究代表者は、求核部位の周辺を構造修飾することにより、環化反応の位置選択性を逆転させることに成功した。引き続き、共役ジイン基質に加え、エンイン基質を含む多様な環化前駆体を用いて鍵反応の検討を行っていく予定である。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
以前に見出した1,2-縮環インドール骨格構築法に対し、共同研究者らが行ったDFT計算の結果から、二段階目の反応における7-endo選択性が中間体の形成における速度論的および熱力学的安定性により合理的に説明できることを明らかとした。また、conolidineの全合成研究において、求核部位の周辺を構造修飾することにより、課題となっていた環化反応の位置選択性を逆転させることに成功した。
|
今後の研究の推進方策 |
以前に開発した反応をconolidineの全合成研究に応用するため、二段階目の反応を6-exo-dig型環化で優先的に進行させることには成功したが、トリイン型基質を用いて鍵反応の検討を行った結果、目的の三連続環化体は得られなかった。引き続き、実験から得られた知見を基に、共役ジイン基質に加え、エンイン基質を含む多様な環化前駆体を用いて鍵反応の検討を行っていく予定である。
|