研究課題
セルロース分解性のカビTrichoderma reesei由来のセロビオヒドロラーゼ型Cel7 (TrCel7A)は結晶性セルロースを分解する活性が高い事が知られている。TrCel7Aは吸着ドメインと触媒ドメインがリンカー領域で繋がった構造をしている。特に触媒ドメインはトンネル状の構造をしており、セルロース鎖を連続的に分解する事が知られている。本研究ではTrCel7Aのどのような構造的特徴が結晶性セルロース分解に寄与しているのか明らかにする事を目的としている。TrCel7Aの触媒ドメインの基質結合サイト-4に存在するトリプトファン残基(Trp38)は、トンネル型構造の入り口に存在しており、全てのセロビオヒドロラーゼ型Cel7に保存されている残基である。しかしその機能については分かっていない。そこでTrCel7AのTrp38をアラニンに変化させた変異体(W38A)の結晶性セルロースの分解活性を調べた所、天然型酵素と比較して著しく低下する事が分かった。その原因を調べるため可溶性セロオリゴ糖の分解パターンを詳細に検討した結果、W38Aでは基質の取り込み速度が低下している事が判明した。また理論計算によって基質結合サイトの結合エネルギーを確認すると、W38Aでは活性中心へ向かう結合エネルギーのグラジエントが崩れていることが分かった。即ちTrp38残基はセルロース分子鎖を活性中心に送り込む為に存在している事が明らかとなった。
26年度が最終年度であるため、記入しない。
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