研究課題/領域番号 |
13J07728
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
阿部 壮志 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC2)
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キーワード | Additive Manufacturing / 3Dプリンタ / 溶融金属積層 / アーク溶接 / CAM |
研究概要 |
近年では金型や機械部品を迅速に直接造形するアディティブ・マニュファクチャリング(3Dプリンタ)技術への期待が高まっている。そこで本研究室では、溶接技術で用いられているアーク放電により溶融させた金属を積層させることで、金属材料を用いて三次元造形を行う溶融金属積層法を発展させている。本手法には多種の汎用の金属材料が使用可能で、既存の3Dプリンタと比較して造形速度が高く、装置や材料コストが低いといった特徴がある。 本研究では溶融金属積層法の実用化に向けて高精度・複雑形状を造形可能にするシステムの構築を目的とする。具体的には、積層特性を調査し、造形誤差を補正することで高付加価値を持つ造形物の高精度造形を可能にするCAMプログラムを開発した。 本手法ではオーバーハング形状をサポート材なしで造形可能であり、単位時間あたりに滴下・堆積される金属の体積も大きい。しかし、オーバーハング形状造形時に、垂直に造形した場合と比較して積層高さが低くなる。これを積層高さ誤差とする。そこで本研究では積層造形物の断面形状モデルを実験から導出し、この積層造形物の断面形状モデルを用いて、オーバーハングの傾斜角度に応じて発生する積層高さ誤差量を推定する。推定した積層高さ誤差量に応じてトーチ送り速度を変化させる。トーチ送り速度が高いと単位面積当たりの金属滴下・堆積量が少なくなり、トーチ送り速度が低いと単位面積当たりの金属滴下・堆積量が多くなる。このトーチ送り速度制御により積層高さ誤差を補正するCAMプログラムを開発した。開発したCAMプログラムを用いることにより、積層高さ誤差を50%低減することができた。加えて、任意の中空形状造形への適用が可能である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初の計画通りに積層特性を調査し、造形の高精度化を実現するCAMプログラムの開発を行うことができた。
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今後の研究の推進方策 |
今後は様々な金属を複数種類用いた場合の造形について調査したい。また、後処理加工までを含めた加工プロセス全体の自動化に向けたシステムの構築に取り組む。
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