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2013 年度 実績報告書

エピゲノムを制御する転写装置付随タンパク質群の同定と解析

研究課題

研究課題/領域番号 13J07740
研究機関島根大学

研究代表者

岡崎 宏亮  島根大学, 医学糸研究科, 特別研究員(DC1)

キーワード分裂酵母 / ヘテロクロマチン / 熱ショックタンパク質 / RNAi / Spt6
研究概要

転写装置付随タンパク質群のエピゲノム制御における機能解明を目的として、免疫アフィニティー精製物の質量分析により12の新規Spt6相互作用因子を同定した。これらの因子の遺伝子を破壊して細胞増殖等への影響を調査し、GFP融合タンパク質の細胞内局在を調査した上で、セントロメア近傍のヘテロクロマチンに挿入されたマーカー遺伝子のサイレンシングへの関与を調べた。その結果、熱ショックタンパク質Hsp40の分裂酵母ホモログであるMas5の遺伝子破壊が顕著な脱サイレンシングを引き起こすことが判明した。Hsp90の変異体が同様の脱サイレンシングを示したことから、これら2つの熱ショックタンパク質のエピゲノム制御における機能解析を重点的に行った。
ヘテロクロマチンに特徴的なピストンH3の9番目のリジンのジメチル化(H3K9me2)と、この修飾を認識して結合するHPIホモログのSwi6の分布を調査したところ、Mas5とHsp90はセントロメア近傍のヘテロクロマチン構築に重要であり、テロメア近傍のヘテロクロマチン構築には必要とされなかった。この表現型はRNAi欠損と同様の表現型である。Mas5とHsp90の変異株の細胞では、RNAiに必須のArgonauteファミリータンパク質であるAgolタンパク質の量がわずかに減少していただけでなく、そのクロマチン局在が失われていた。
動物や植物においては、Hsp70ファミリーに属するHsc70とHsp90が低分子RNAのArgonauteへのローディングに必要である。本研究は熱ショックタンパク質がRNAiを介したヘテロクロマチン構築に関わることを強く示唆しており、エピゲノム制御における熱ショックタンパク質の役割を見いだした点は非常に意義深い。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

本研究の基礎となる論文を「Scientific Reports」に、さらに、その内容の概要をまとめた総説を「Epigenetics」にそれぞれ第二筆頭著者として報告した。また、新規のSpt6相互作用因子として熱ショックタンパク質Mas5を同定し、これがHsp90と共にRNAi経路を介したヘテロクロマチンの構築に重要な役割を果たすことが明らかになりつつあるため。

今後の研究の推進方策

今後は、複数種あるHsp40やHsp70のホモログやHsp90のコシャペロン等の遺伝子破壊株を作成し、熱ショックタンパク質とRNAiを介したヘテロクロマチン構築との関係性を包括的に探るとともに、熱ショックタンパク質がヘテロクロマチン領域に局在するのか、熱ショックタンパク質の変異はRITS複合体のヘテロクロマチン領域への局在に影響を与えるのかを調査する。そしてさらにはRNA制御全般への熱ショックタンパク質の寄与に関しても研究を広げていく予定である。

  • 研究成果

    (3件)

すべて 2013 その他

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 備考 (1件)

  • [雑誌論文] Spt6 : two fundamentally distinct function in the regulation of histone modification2013

    • 著者名/発表者名
      Kato H, Okazaki K, Urano T
    • 雑誌名

      Epigenetics

      巻: VOl.8 ページ: 1249-53

    • DOI

      10.4161/epi.26487

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Spt6 prevents transcription-coupled loss of posttranslationally modified histone H32013

    • 著者名/発表者名
      Kato H, Okazaki K, Iida T, Nakayama J, Murakami Y, Urano T
    • 雑誌名

      Scientific Reports

      巻: VOL.3 ページ: 2186

    • DOI

      10.1038/srepO2186

    • 査読あり
  • [備考]

    • URL

      http://www.med.shimane-u.ac.jp/biochem2/index.htm1

URL: 

公開日: 2015-07-15  

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