研究課題/領域番号 |
13J07770
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
鄭 明奈 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC1)
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キーワード | アミロイド / ネコ / マウス / 遺伝子多型 / 質量分析 |
研究概要 |
本研究は、アミロイド蛋白を病理学的・生化学的に比較分析することで、アミロイド線維形成の分子機構を明らかにすることを目的とする。そこで、発生が多いネコ及びマウスの実験的アミロイド症についてAAの構成分子種の同定を試みた。また、ネコに発生が多い原因として、SAA遺伝子多型の検索を試みている。一方で由来不明アミロイドの構成蛋白の同定も試みている。ネコ、マウスのAA及び各種由来不明アミロイドに共通する因子を抽出することで、アミロイド線維化分子機構を考察できると考えている。 1. ネコ及びマウスのAA構成分子種の同定 ネコのAA沈着肝及び非沈着肝から蛋白精製を行った。これらのサンプルを二次元電気泳動にかけ、違いの見られたスポットについてPMF法による質量分析を行い、ネコのAA構成蛋白の詳細な検討を行った。データベースとしてMascotを用いて検索を行ったが、技術が未熟であったため良好な結果が得られなかった。またヒトのAAは切断型SAAで構成されることが報告されていることから、マウスのAAでも同様の切断が生じているかを検索した。AA沈着肝及びコントロール肝を蛋白分解酵素処理したサンプルのウエスタンブロットを行い、抗マウスSAA抗体でバンドを検出した。結果、処理を行ったAA沈着肝にSAA単量体より低分子量の、切断型と思われるバンドが検出された。 2. ネコSAAの遺伝子多型の検索 ヒトではSAA遺伝子多型がアミロイド症発症を規定する因子の一つであるとの知見から、ネコSAA遺伝子多型の検索を目的とした研究を行っている。そこで、抗ネコSAAポリクローナル抗体作製を目的として大腸菌由来ネコリコンビナントSAA蛋白を作製した。 3. 由来不明アミロイドの構成蛋白の同定 コンゴレッド染色陽性、電子顕微鏡観察で線維構造の認められた由来不明アミロイドの構成蛋白として、これまでの報告から考えられる蛋白に対する抗体を用いて免疫染色を行い、同定を試みている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
3: やや遅れている
理由
初年度に計画していた、ネコおよびマウスのAA構成分子種の同定に至っていないため。ただし、用いる研究手法は所属研究室に取り入れることができたため、次年度以降結果が出る予定である。
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今後の研究の推進方策 |
ネコ及びマウスのAA構成分子種の同定に関して、用いた手法のいずれも当研究室で初めて用いた手法であったため、更なる条件検討を行った上で研究を継続する予定である。また、蛋白分解酵素処理AA肝から得られた切断型SAAと思われるバンドの更なる検索を行う予定である。 ネコSAA遺伝子多型による発現SAAの相違の検索については、作製したリコンビナントネコSAA蛋白を抗原として作製したポリクローナル抗体を用いてネコ血清サンプルの免疫沈降および沈降蛋白の二次元泳動と質量分析を組合せて発現SAAのアミノ酸配列を決定する予定である。 由来不明アミロイドについては、ホルマリン固定パラフィン包埋切片からレーザーマイクロダイセクションによる切り出しを行い、LC-MS/MSによるプロテオーム解析を行う予定である。
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