研究課題
前年度の研究で得られた「近似性質を持つ群C*環が核型C*環の減少交叉として得られる」という定理に触発されて,核型でないC*環がどの程度まで“きつい”核型包囲環をもちうるか研究した.私はこの問題にカントール系という対象から研究に取り組み,無限自由積群の群C*環について最良の解を得た.つまり,近似性質をもつ無限自由積群(たとえば無限階の自由群)の被約群C*環に対して,包含の間に非自明な部分C*環がまったく存在しない核型包囲環を構成することができた.近年のC*環の分類理論のめざましい発展は,核型C*環に関するまったく非自明な,信じがたい埋め込みや同型の存在を示している.我々の構成した核型包囲環も分類理論の守備範囲にあるC*環(Kirchberg環)である.そのため,著しく性質の異なる部分環でありながら,中継する部分環をまったくもたないものが存在したことは驚きであると言えるだろう.このような問題はvon Neumann環の場合には30年以上前から現在に至るまで,Sorin Popaによるbreakthroughを祖として研究されている「極大単射部分環を探す」という問題と同値である.今回得られた成果は単に極小であるというだけでなく,部分間そのものが存在せず,von Neumann環で知られている結果よりもはるかに強い.そのためC*環の研究者のみならずvon Neumann環の研究者の関心を集めることができた.
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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The American Journal of Mathematics
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Groups, Geometry, and Dynamics
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