研究課題
海馬では様々な周波数の脳波が観察される。その中でもsharp wave rippleは、学習時に活動したニューロンの発火パターンを繰り返し再生することにより記憶の固定に関与していると考えられているが、そのメカニズムにはいまだに不明な点が多い。 獲得した記憶がどのように固定されるのかを調べるために、機能的多ニューロンカルシウム画像法と局所場電位記録を用いて検討した。活動性の高いニューロンを標識することのできるArc-dVenusマウスを用いることで、記憶に関与したニューロンを蛍光標識し、それらがSW中でどのような挙動を示すのか観察した。その結果、dVenus (+)ニューロンはsharp wave ripple中で繰り返し発火しやすかったのに対し、記憶に関与しなかったと考えられるニューロン(dVenus (-)ニューロン)は、記録開始直後はsharp wave ripple中で発火しやすかったものの、時間とともにsharp wave ripple中での活動頻度が低下した。これは、sharp wave ripple発生中に必要な記憶情報が残され、不要な記憶情報だけが選択的に消去されるメカニズムが存在することを示唆する。また、この現象がNMDA受容体の阻害薬であるD-AP5によってブロックされたことから、この現象にシナプス可塑性、おそらく選択的なシナプス抑圧が関与していることが示唆された。本成果を論文としてまとめ、投稿する予定である。
27年度が最終年度であるため、記入しない。
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