研究課題/領域番号 |
13J07878
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
村越 ふみ 東京大学, 大学院農学生命科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | クリプトスポリジウム / セントロメア / ヘテロクロマチン |
研究概要 |
クリプトスポリジウムのセントロメア配列を決定し、この配列を組み込んだ人工染色体を用いてクリプトスポリジウムへの遺伝子導入法の確立を行うことが、本研究の目標である。 そのため、今年度は以下の3点の達成を目標とした ・クリプトスポリジウムのin vivoでの培養系を立ち上げ、サンプルの安定供給を可能とする ・セントロメア特異的ヒストンタンパク質であるCenpAの抗体の作成および特異性の確認 ・ヘテロクロマチン領域を調べるための、遺伝子発現抑制的ヒストン修飾の検出 クリプトスポリジウムのin vivoでの培養に関しては、サンプルの安定供給が可能となった。 本原虫のCenpAはゲノム配列から機械的に予測されたもので、完全ではない。そこで、CenpAの発現を転写レベルで確かめた後に本原虫CenpAペプチド抗体を作成したが、本原虫のヒストンと反応するものは得られなかった。そのために、セントロメアの両端に存在するヘテロクロマチン領域を認識するメチル化修飾ヒストンH3に対する抗体をいくつか試したが、転写を抑制する修飾を検出することはできなかった。これは、本原虫において転写を抑制するヒストン修飾の量が非常に少ない事を示唆している。 しかし、ヒストンH4において、転写の抑制およびヘテロクロマチン領域に関与すると予測されている修飾部位を抗体で検出することに成功した。 更に、次世代シーケンサーによる全ゲノムクロマチン免疫沈降シーケンス(ChIP-seq)の条件検討を行った。現在は検出されたヒストン修飾に対し、ChIP-seqを行っている。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本原虫において転写を抑制するヒストン修飾の量が非常に少ないという結果は予想外であったが、ヒストンH4において、転写の抑制およびヘテロクロマチン領域に関与すると予測されている修飾部位を抗体で検出することに成功したため、研究は順調に進展している。
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今後の研究の推進方策 |
ChIP-seq行うことにより得られた配列をGap領域を解読した本原虫ゲノム配列にマッピングし、セントロメア配列の決定を行う。
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