研究課題/領域番号 |
13J08008
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
清水 勇吉 徳島大学, 総合科学教育部, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 九州方言 / 言語地図 / 地域差 |
研究概要 |
本研究の主要な目的の一つは、主要島喚部を含む九州地方全域を対象とした言語地図集を作成することにある。これは『九州方言の基礎的研究』(1969)にまとめられている面接調査の結果を追うものである。平成25年度は既に実施していた通信調査で生じていた空白地点を補填することに重きを置いた。なお、平成25年度以前に収集していた地点数は573であった。その時点での主な空白地点は九州東部、また奄美大島をはじめとする島喚部であったため、郵送留め置き調査法を加えることとした。現在も継続して返送を待つものもあるが、現時点で37件返送があり、九州東部などはほぼ調査を終えたとして差し支えない。 また、平成25年度は先行研究との比較および言語地図の解釈などを主な目的として国内発表を2件おこなった。1件目は、九州方言研究会第37回研究発表会の「九州方言の"自動車のすれ違い"に関する語彙」を題目とした口頭発表である。これは西日本の各地、特に九州地方において「自動車同士が狭い道ですれ違うこと」を意味する「リゴー(スル)」に焦点を当てたものであり、多くの変異形を持つこの表現の分布と「リゴー(スル)」の出自について発表をおこなった。2件目は徳島大学国語国文学会発表会の「九州地方における「神主」の方言について」を題目とする口頭発表である。本発表に関しては先行研究である『九州方言の基礎的研究』との比較をしており、残存している形式や分布の退縮の様子などを主にみた。 なお、年間を通して、受入研究者である岸江信介教授の持つ方言調査プロジェクトにも積極的に参加し、中部地方や奄美大島に赴いての面接調査や、その他調査報告書の編集にも中心的に携わった。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
平成25年度については、主にそれまでに収集したデータの空白地点を補填することに重きを置いた。特に空白の目立っ大分県や宮崎県などの九州東部、また奄美大島をはじめとする島喚部であったため、実際に現地に赴き、郵送留め置き調査法を加えることとした。現在も返送待ちのものもあるが、現時点で当該地域に関する調査ぼ完了したと言える。
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今後の研究の推進方策 |
先行研究である『九州方言の基礎的研究』(1969)との比較も含め、研究の一つの成果として、言語地図集および各項目の解説も含めた『九州言語地図(Linguistic Atlas of Kyushu)』(仮)も刊行予定であり、学界への貢献としたい。適宜必要に応じて各地域にて面接調査等をおこなう。
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