研究課題/領域番号 |
13J08096
|
研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
カン ジュンヒョン 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC2)
|
キーワード | 多層光配線 / 層間垂直信号伝送 / グレーティングカプラ / アモルファスシリコン / 金属ミラー |
研究概要 |
平成25年度には多層間グレーテイングカプラの高効率動作を実現した。以前までの多層間グレーティングカプラでは2つのグレーティングカプラを上下に積層した構造になっているため、上下対象な特徴を持つ。従って回折格子で放射される光は互いのグレーティングカプラへの方向以外に、グレーティングカプラの反対方向に放射される成分(損失分)がある。今回は反対方向に放射される成分を抑えるために多層間グレーティングカプラの上下に金属ミラーを導入した構造を作製した。 金属ミラーを取り入れる際に重要なポイントは金属ミラーからグレーティングカプラまでの距離を制御することである。それは回折格子から放射される光とミラーから反射して戻ってくる光間で位相整合が行われる必要がある。今回には設計値800nmに対して790~795nm程度で距離を制御しており、その結果、当初目標としていた80%を超える83%の結合効率を達成できた。結合効率が半分になる3dB幅も60nmを超えており、良好な特性を示した。 上記の結果は結合形導波路に比べて比較的遠い層間距離1μmでも高効率かつ高密度な3次元Si多層光配線が可能であることを示すとともに、83%の効率はグレーティングカプラ構造を採用した結合器の中では世界で最も高い効率であり、金属ミラーによる高効率動作化や高い精度の作製技術も確かめられた。
|
現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
本年度では計画当初予定していた結合効率80%を超える83%の効率を達成した。 計画以上に研究を進めており、現在は次のステップの準備に着手している。
|
今後の研究の推進方策 |
これまでのグレーティングカプラは結合効率が層間距離に依存する特性を示していた。その原因は各層の回折格子の間で放射波の多重反射が発生しているためである。多重反射を抑制するためにグレーティングのアポダイゼーションを行い、送信側から放射される光波と受信側グレーティングのモードプロファイルを一致させることを予定している。また、層間結合器以外にもファイバカプラや光源の集積など3次元光回路の実現に向けて各種デバイスの融合を計画している。
|