研究課題/領域番号 |
13J08112
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研究機関 | 東京農工大学 |
研究代表者 |
宮内 祐太 東京農工大学, 大学院工学府, 特別研究員(DC1)
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キーワード | ロジウム / [2+2+2]付加環化反応 / アルキン / アルキニルエーテル / ビアリール / ヘリセン / 軸不斉 / らせん不斉 |
研究概要 |
本年度の研究では主として、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒を用いたアルキニルエーテルの新規不斉共三量化反応の開発を目的とし、具体的には以下の検討を行った。 (1)カチオン性ロジウム(I)錯体触媒を用いたアリールエチニルエーテルとイミンとの分子間[2+2+2]共三量化反応 (2)カチオン性ロジウム(I)錯体触媒を用いたアルキニルエーテルと1,6-ジインとの[2+2+2]付加環化反応による軸不斉ジアリールエーテルの合成 上記(1)、(2)においては、当初想定していた反応は進行しなかったものの、以下の反応の開発に成功した。 (3)カチオン性ロジウム(I)/dppp錯体触媒を用いたジアステレオ選択的連続[2+2+2]付加環化反応による軸不斉ビアリールの不斉合成 (4)カチオン性ロジウム(I)/(R)-Segphos錯体触媒を用いた連続分子内[2+2+2]付加環化反応による[9]及び[11]ヘリセン誘導体のエナンチオ選択的合成 上記(3)、(4)は、それぞれ、新規光学活性配位子の創製、新規キラル有機発光材料創製の基盤研究となることが期待される。 また、カチオン性ロジウム(I)/H_8-BINAP錯体触媒存在下、シクロヘキサン架橋及びシクロヘキサジエン架橋末端ジインとジ-tertブチルアセチレンジカルボン酸エステルとの分子間[2+2+2]付加環化反応が高い位置選択性で進行するという初期的知見が得られた。 以上の研究において、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒の優れた特性を最大限に活かすことにより、従来の触媒系では実現することができなかった高選択的な新規反応の開発に成功した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
当初想定していた反応は進行しなかったものの、カチオン性ロジウム(I)/ビスボスフィン錯体触媒を用いた、(1)ジアステレオ選択的連続[2+2+2]付加環化反応による軸不斉ビアリールの不斉合成、(2)連続分子内[2+2+2]付加環化反応による[9]及び[11]ヘリセン誘導体のエナンチオ選択的合成を達成したため、当初の計画にある軸不斉、らせん不斉の構築の研究に関して進展があった。
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今後の研究の推進方策 |
当初の計画通り、カチオン性ロジウム(I)/ビスホスフィン系錯体触媒を用いたアリールアルキニルエーテル部位を2つ有するトリイン及びテトラインの分子内及び分子間[2+2+2]付加環化反応によるらせん不斉[7]及び[9]ジオキサヘリセンの合成を目指し、反応に用いるトリイン及びテトラインの効率的な合成法の検討に着手する。 また、初期的知見が得られたカチオン性ロジウム(I)/H_8-BINAP錯体触媒を用いたシクロヘキサン架橋及びシクロヘキサジエン架橋末端ジインとジ-tert-ブチルアセチレンジカルボン酸エステルとの分子間[2+2+2]付加環化反応について、反応条件、基質適用範囲など、より詳細な検討を行う。
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