本年度はイネの葉間期制御に関わるPLASTOCHRON (PLA)遺伝子、ABERRANT PANICLE ORGANIZATION (APO)遺伝子、SQUAMOSA PROMOTER BINDING PROTEIN-LIKE (SPL)遺伝子の遺伝的関係について調査し、さらに葉間期が異常になる新規変異体の探索を行った。 PLA遺伝子とAPO遺伝子の機能欠損変異体は葉間期が短縮し、野生型と比べて葉の枚数が多くなる。これらの遺伝子の二重変異体では単独の変異体よりも葉の枚数が多くなる表現型を示した。このことから、PLA遺伝子とAPO遺伝子は独立に葉間期を制御していると考えられ、PLA遺伝子とは別の経路の存在が推測された。 OsSPL14遺伝子はマイクロRNAの一つmiR156によって制御される転写因子であり、OsSPL14の過剰発現体では葉間期が延長し葉の枚数が少なくなる表現型を示す。発現解析と二重変異体の解析からOsSPL14遺伝子はPLA1、PLA2遺伝子の下流で機能している可能性が考えられた。さらに、OsSPL14と同じクレードに属するSPL遺伝子の発現量がpla1、pla2変異体において減少していることが判明し、OsSPL14以外にも葉間期制御に関わるSPL遺伝子の存在が示唆された。 葉間期制御に関わる新規変異体候補としてpla1変異体のエンハンサー系統が得られた。この変異体はインディカ品種背景に変異源処理を施したものであり、PLA1に変異をもつ上で、ジャポニカ品種のpla1変異体よりも葉の枚数が多くなる強い表現型を示した。ジャポニカ品種と掛け合わせて作成したF2集団からは、中間型の表現型を示す変異体が分離したため、半優性の遺伝様式をとる遺伝子だと推測された。
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