研究課題/領域番号 |
13J08213
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
松尾 悠里 東京工業大学, 大学院理工学研究科(工学系), 特別研究員(DC1)
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キーワード | リビングアニオン重合 / 結合反応 / トリブロック共重合体 / スチレン誘導体 |
研究概要 |
本研究の目的は、リビングアニオン重合と特別に分子設計した結合反応を組み合わせた合成法の確立と汎用性を追求して、リビングアニオン重合のみでは合成が困難な連鎖順の異なる新規トリ、テトラ、及びマルチブロック共重合体の精密合成を可能にすることである。 本年はスチレンとは大きく反応性の異なるパラ位に電子求引性基を有する4種類のスチレン誘導体を用いて、新規のシークエンスのトリブロック共重合体の精密合成を行った。官能基含有セグメントをブロック共重合体中の任意の位置に導入することに成功し、提案している合成法の有用性を確かめた。 また、スチレン、2-ビニルピリジンに加え、アニオン重合性の異なる環状モノマーであるエチレンオキシドを用いた連鎖順の異なるトリブロック共重合体の精密合成にも取り組んだ。 一連の研究では、リビングアニオン重合と特別に分子設計した結合反応を組み合わせた独創的な合成法の開発を行うことで、任意の連鎖順のブロック共重合体を合成できるようになると考えられ、高分子合成における長年の懸案が解決される。それにより連鎖順と物性、モルフォロジーなどの機能発現の関係が明らかとなり、幅広い分子設計ができるようになるため、NanoscienceやNanotechnologyを目指した材料開発も可能となり、高分子合成のみならず物性面でも極めてインパクトの大きい研究となる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
先行研究のスチレン、2-ビニルピリジン、メチルメタクリレートを用いた場合だけでなく、官能基を有するセグメントを用いた場合でも提案している合成法が有用であることが確認できたため、本年度の研究目標は達成できていると考える。
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今後の研究の推進方策 |
今後はビニルモノマーに加え、アニオン重合性の大きく異なる環状モノマー類(エポキシド、ラクトン、ラクチドなど)を用いて、任意のシークエンスを有するトリブロック、およびテトラブロック共重合体の精密合成を行い、提案している合成法の更なる一般化を行う。また、HelixやRod構造といった特殊な立体構造を有するセグメントを導入したトリブロック共重合体の精密合成にも取り組み、シークエンスが物性面に与える影響についても調査する。
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