研究課題/領域番号 |
13J08267
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研究機関 | 九州大学 |
研究代表者 |
瀬本 貴之 九州大学, 工学府, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 接着 / エポキシ樹脂 / 炭素繊維 / 量子化学 / 計算化学 |
研究実績の概要 |
前年度に引き続き、炭素繊維/エポキシ樹脂界面における接着機構に関する理論的研究を行った。今年度は、炭素繊維とエポキシ樹脂との相互作用をより詳細に解析した。エネルギー分割を行い、界面相互作用を静電相互作用、分散相互作用、交換反発、電荷移動相互作用に分割することで接着界面での原子、分子間の相互作用の本質を探った。前年度まではスラブモデルを構築してCASTEPプログラムを用いて計算を行っていたが、今回はフラグメント分子軌道(FMO)法の機能であるPair Interaction Energy Decomposition Analysis (PIEDA)を用いてエネルギー分割を行うため、クラスターモデルを作成し計算を行った。Dmol3プログラムを用い、GGA-PBEによりクラスターモデルの構造最適化を行った。また、界面分離のステップごとに部分構造最適化を行った。これらの構造に関して、PIEDAによりエネルギー分割を行った。計算にはGAMESSプログラムを用い、FMO法を利用した。さらに、分割されたエネルギーを高次曲線に近似し微分することで、2体間に作用する力を求めた。静電相互作用やファンデルワールス力の関数の次数を求め、界面距離との関係を調査した。現在、エネルギー分割の計算を行い、データを集めている段階である。この研究により、界面相互作用の起源やその距離依存性が明らかとなった。また、疎水的な表面と親水的な表面とでは界面相互作用の内訳が大きく異なることが明らかとなった。これまでに接着を原子レベルで取り扱った研究は少なく、企業や研究機関からの注目を浴びている。本研究によって得られた知見はより接着性のよい炭素繊維表面を設計する上で非常に有用である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
前年度までの研究をさらに発展させ、より高度な計算手法を用いてグラファイト表面と樹脂との相互作用を解析し、接着現象の本質的な理解が得られた。当初の計画通り、界面にはたらく力とその表面環境への依存性が明らかとなった。
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今後の研究の推進方策 |
継続して現在の計算を行う予定である。その後は計算モデルを大規模化させ、より現実的なモデルを用いてシミュレーションを行う予定である。
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