研究課題/領域番号 |
13J08268
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研究機関 | 徳島大学 |
研究代表者 |
峪口 有香子 徳島大学, 総合科学教育部, 特別研究員(DC1)
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キーワード | 言語地理学 / 追跡調査 / 経年変化 / GIS / 空間分析 |
研究概要 |
今年度は、通信調査によるデータ収集を中心にフィールドワークを行い、随時得られたデータをGISに認識させる為に、GIS化する作業を中心に行いました。今年度、新たに得られた追加調査地点は、総計153地点です。次年度に博士論文の作成を控えているため、学会発表や論文の公刊をしておきたいと思い、様々な学会発表にチャレンジしました。今年博士論文に関係する発表は、4回行いました。 まず2013年8月に行われた、Urban Language Seminar11では「瀬戸内海域の共通語化による言語変化について」発表をしました。共通語化に着目し、各語形の使用率をだしランキング化を行いました。2013年10月に中国四国日本語学会で、「瀬戸内海言語図巻の電子データ化の試み―瀬戸内海地域における方言通信調査による電子データとの実時間上の比較―」について発表しました。主に、約60年前の言語地図の電子化手順について紹介しました。また発表した折に、IAS調査・作成に携わった広島大学名誉教授の江端義夫先生に激励され、今後の研究に対して大きな励みとなりました。2013年11月は、2013年人文地理学会大会で、「地域言語に関するGIS分析―瀬戸内海地域をフィールドとして―」について発表を行いました。瀬戸内海言語図巻(以下LASと略す)と俗口調査の「さつまいも」の地図を作成し、まず空間検索をし、地点をIASと同地点を抜き出し、分布志向性分析をおこないました。またグループ分けした語形の使用率もだし、比較をしました。2014年2月は、平成25年度香川民俗学会総会・研究発表会で「讃岐方言のにわか雨・雷の方言」について発表を行いました。考察の結果、香川県島嶼部は伝統的語形が多く残存していることが明らかになりました。さらにデータベースの作業では、LAS全ての地図241枚を、大型スキャナーを使いスキャニングし、TIFFファイル化を行いました。現段階では、地図1枚ずつに時間を費やし、丁寧にGIS化する作業を行っています。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
研究課題の遂行に際し、研究計画に沿いながら研究が進み、まず、国際学会、全国レベルの学会で、口頭・ポスター併せて5件の研究発表を行なった点は十分評価できる。GISをべースとした研究発表が中心となったが、とりわけ瀬戸内海域での先駆的研究である藤原与一・広島方言研究所編『瀬戸内海言語図巻上・下』(1977)の電子化に着手し、調査地点などの位置情報を含んだ基礎図段階の作業まで終え、この著作に含まれている言語地図の電子化へと着実に進めている点は、高く評価できる。
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今後の研究の推進方策 |
1年目の進捗状況に応じて、引き続きデータ収集及びデータをデータベース化する。来年の博士論文作成の為に、データ収集、データベース化を精緻に行い、理論の構築に向けて調査に漏れのないようにする。データを整理しまとめ、GIS上に実時間の変化、相対的変化を示し、新たな理論の検証、構築を試みる。学会発表を積極的に行い、多くの研究者から有益な意見を得るチャンスをつかむ。それを参考に自論を改善し、研究発表で取り上げた内容のいくつかを、論文にまとめ公刊をする。
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