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2013 年度 実績報告書

軸索再生阻害作用をもつケラタン硫酸オリゴ糖の合成

研究課題

研究課題/領域番号 13J08319
研究機関鳥取大学

研究代表者

武田 尚子  鳥取大学, 工学研究科, 特別研究員(DC2)

キーワードケラタン硫酸 / 精密化学合成 / 軸索再生阻害
研究概要

損傷を受けた中枢神経の軸索は、損傷神経周辺のグリア廠痕に蓄積されるプロテオグリカンやミエリン由来のタンパク質などで再生が阻害されることが報告されている。特に、グリア搬痕に蓄積されるプロテオグリカンが重要で、主としてコンドロイチン硫酸やケラタン硫酸(KS)であることが判明しつつある。天然に存在するKSオリゴ糖は、構成糖の水酸基に結合する硫酸基の位置や数により、複数の硫酸化パターンや糖鎖長のKSオリゴ糖で構成されており、KS分子中の機能ドメインが明らかでない。本研究では、軸索再生阻害活性に密接に関係するKSオリゴ糖の構造を明らかにするため、硫酸化パターンや糖鎖長の異なるKSオリゴ糖の系統的な化学合成を行うこととした。
平成25年度は、KSオリゴ糖の最小単位である4種類の硫酸化パターンをもつKS二糖の合成と糖鎖伸長の検討を行った。硫酸化パターンの異なるKSオリゴ糖を系統的に合成するため、本研究では保護基の組み合わせによって硫酸基の位置を制御することにした。糖鎖伸長は共通中間体同士を組み上げることでオリゴマー化することとした。
共通中間体は、D-グルコサミンから誘導した単糖受容体と既知化合物である単糖供与体を縮合した後、位置選択的に保護基を導入することによって合成した。KS二糖の合成では、共通中間体の保護基を位置選択的に除去し、硫酸化後、全ての保護基を除去と還元末端にアミノ基をもつリンカーを結合させることで4種類の硫酸化パターンをもつKS二糖の合成に初めて成功した。一方、糖鎖伸長の検討では、二糖ユニットから二糖受容体と二糖供与体を高収率で得ることができた。続いて、得られた二糖供与体と受容体を縮合することによって立体選択的にKS四糖保護体を合成することに成功した。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

2: おおむね順調に進展している

理由

平成25年度の研究では、4種類の硫酸化パターンをもつKS二糖の合成に成功したことに加え、KS四糖保護体の合成にも成功した。軸索再生阻害活性に密接に関係するKSオリゴ糖の構造を明らかにする際に利用できる構造が明確なKSオリゴ糖の合成ができたため、研究はおおむね順調に進展していると言える。

今後の研究の推進方策

平成26年度は、平成25年度に合成した糖鎖の伸長をより効率的に行うことを検討し、糖鎖を伸長していく予定である。また、合成したKS四糖保護体の位置選択的な硫酸化に続く保護基の除去の検討を行う。そして、合成したKSオリゴ糖を用いて軸索再生阻害との相互作用を確認することも予定している。

  • 研究成果

    (8件)

すべて 2014 2013

すべて 雑誌論文 (2件) (うち査読あり 2件) 学会発表 (6件)

  • [雑誌論文] Synthesis of Biotinylated Keratan Sulfate Repeating Disaccharides2014

    • 著者名/発表者名
      Naoko Takeda Jun-ichi Tamura
    • 雑誌名

      Bioscience Biotechnology and Biochemistry

      巻: 78 ページ: 29-37

    • DOI

      10.1080/09168451.2014.877834

    • 査読あり
  • [雑誌論文] Synthesis of β-D-GaINAc (4,6-diS)(1-4)[α-L-Fuc (2,4-diS)(1-3)]- β-D-GlcA, a novel trisaccharide unit of chondroitin sulfate with a fucose branch2013

    • 著者名/発表者名
      Jun-ichi Tamura, Haruna Tanaka, Ayumi Nakamura, Naoko Takeda
    • 雑誌名

      Tetrahedron Letters

      巻: 54 ページ: 3940-3943

    • DOI

      10.1016/j.tetlet.2013.05.064

    • 査読あり
  • [学会発表] ビオチンリンカーに結合したケラタン硫酸オリゴ糖の合成2014

    • 著者名/発表者名
      武田尚子, 田村純一
    • 学会等名
      日本農芸化学会2014年度大会
    • 発表場所
      明治大学(東京)
    • 年月日
      2014-03-29
  • [学会発表] ナマコ由来フコシルコンドロイチン硫酸繰返し三糖の合成2014

    • 著者名/発表者名
      田村純一, 田中晴奈, 中村歩, 武田尚子
    • 学会等名
      日本農芸化学会2014年度大会
    • 発表場所
      明治大学(東京)
    • 年月日
      2014-03-29
  • [学会発表] Synthesis of keratan sulfate oligosaccharide.2013

    • 著者名/発表者名
      Naoko Takeda Jun-ichi Tamura
    • 学会等名
      14th Tetrahedron Symposium Asia Edition, Seoul
    • 発表場所
      Ritz Carlton seoul (Korea)
    • 年月日
      20131021-24
  • [学会発表] Synthesis of keratan sulfate oligosaccharide.2013

    • 著者名/発表者名
      Naoko Takeda Jun-ichi Tamura
    • 学会等名
      10th Asia-Pacific Chitin & Chitosan Symposium, Yonago
    • 発表場所
      Yonago Convention Center (Japan)
    • 年月日
      20131004-08
  • [学会発表] ケラタン硫酸オリゴ糖の合成2013

    • 著者名/発表者名
      武田尚子, 田村純一
    • 学会等名
      第32回日本糖質学会年会
    • 発表場所
      大阪国際交流センター(大阪)
    • 年月日
      2013-08-06
  • [学会発表] ナマコ由来新規フコシルコンドロイチン硫酸オリゴ糖の合成2013

    • 著者名/発表者名
      田村純一, 田中晴奈, 中村歩, 武田尚子
    • 学会等名
      第32回日本糖質学会年会
    • 発表場所
      大阪国際交流センター(大阪)
    • 年月日
      2013-08-05

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公開日: 2015-07-15  

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