研究課題/領域番号 |
13J08426
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研究機関 | 金沢大学 |
研究代表者 |
三浦 真 金沢大学, 自然科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | ポディフォーム・クロミタイト / オマーン・オフィオライト / 非調和性クロミタイト / 島弧的セッティング / ライイズ・オフィオライト / 超高圧クロミタイト |
研究概要 |
オフィオライトのマントル部に時折産するポディフォーム・クロミタイトはクロミウムの資源鉱石として知られ、これまで最上部マントルでマグマ混合が起きることで形成されると解釈されてきた。 しかし、近年ダイヤモンドなどの超高圧を示唆する鉱物がチベット・北極圏ウラルのクロミタイトから発見され、従来提唱されてきたクロミタイト成因論を再構築する必要が出てきた。特に超高圧鉱物を含むクロミタイトと最上部マントル起源と考えられるクロミタイトの系統的な比較研究を行う必要がある。 本研究ではマントルダイナミクスを取り入れた新たなクロミタイト成因論を構築することを目的とする。当該年度では、超高圧クロミタイトの比較対象である低圧起源クロミタイトの素性(テクトニックセッティング等)を明らかにすること、超高圧クロミタイトの野外での産状を明らかにすることを目標とした。 オマーン・オフィオライトのマントル部に出現する非調和性クロミタイトは島弧下マントルの様な低圧条件下で形成されたと考えられている。ヒルティ地域において、非調和性クロミタイト周囲のハルツバーガイト・ダナイトの系統的な鉱物化学組成、鉱物微量元素組成を検討した結果、クロミタイトと島弧的マグマは密接な成因的関係にあることが判明した。この成果は国際誌に出版された(Miura et al., 2014)。またこれら非調和性クロミタイトと西南日本唐津高島のアルカリ玄武岩中に産する島協弧下マントル起源クロミタイトが白金族元素化学組成といった様々な面において非常に類似していることを明らかにした。特に島弧下マントル起源クロミタイトの白金族元素化学組成の特徴はクロミタイト・オフィオライトの起源を特定する上で非常に重要な指標となる。この成果は昨年度のEGUで発表され、現在投稿中である。 また超高圧クロミタイトの野外での産状を明らかにするために昨年2013年7月25日から8月19日にかけて北極圏ウラルのライイズ・オフィオライトにおいて野外調査を行った。露頭において超高圧クロミタイトが周囲のマントルかんらん岩に調和的に産していることを確認し、今現在試料の解析を急いでいる段階である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究を進めるにあたり、超高圧クロミタイトとの比較対象である低圧クロミタイトの有するであろう特徴・素性を特定することは必要不可欠である。オマーンの非調和性クロミタイトを精査することで、テクトニックセッティングおよび島弧マグマとの関連性を明確にすることができたため、順調に進展しているといえる。
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今後の研究の推進方策 |
今後チベット・北極圏ウラルに産する超高圧クロミタイトと明らかな低圧クロミクイト(オマーン非調和性クロミタイト)の系統的な比較研究を行う。特にクロミタイト周囲のマントルかんらん岩を含めた、記載岩石学的特徴、ラマン分光法による鉱物中の包有物の解析、鉱物中の元素拡散等を詳細に検討する、クロミタイトの系統的な分類を行い、それらとマントルダイナミクスにどの様な関係性がみられるのか、博士論文としてまとめる予定である。
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