研究課題/領域番号 |
13J08497
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研究機関 | 東京女子大学 |
研究代表者 |
中原 純 東京女子大学, 現代教養学部, 特別研究員(PD)
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キーワード | 高齢者 / 他者との接触 / well-being / 自己過程 / シルバー人材センター / 自尊感情 |
研究概要 |
本研究は3年間でwell-beingの概念の整理(研究1)と他者との役割関係が自己過程を通して高齢者のwell-being全体に与える影響を検討する(研究2)ものである。その1年目として、平成25年度は、研究1のためにウィスコンシン大学にて研修を受ける、研究2に関するデータ(MIDUSおよびMIDJAのデータアーカイブ)の分析、研究2の予備調査の実施およびそれらの学会発表などを予定していた。 ウィスコンシン大学の研修は平成25年12月より実施しており、その中でMIDUSおよびMIDJAのデータ分析を行っている。現時点で明らかとなった内容としては、子どもや配偶者との関係性が自尊感情に与える影響は、アメリカにおいてはライフコースを通して一定であるが、日本では発達段階によって異なることを示し、他者との役割関係と自尊感情(自己過程に関する変数)の関係が日米で異なる傾向を持っていることが示唆された。また、この結果は、15th SPSP (Society for Personality and Social Psychology) annual meetingにおいて学会発表を行った。 また、研究2の予備調査としては、シルバー人材センターの会員279名に対して、2波の同一パネル調査を実施した。平成25年6月に実施した弟1波のデータは既にデータ入力およびデータ整理を終了し、分析が可能な状況にある。一方で、2月に実施した第2波のデータは、データ入力中であり、分析はデータ整理後になる。このデータの分析により、役割アイデンティティ(自己過程の1つ)の測定方法を従来のものより改善することができるであろう。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
ウィスコンシン大学における研修の開始時期が、ビザ等の申請の問題から、当初予定していた平成25年10月からやや遅れ、12月となった点を除けば、概ね順調に進展している。そのため、評価は②とした。
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今後の研究の推進方策 |
平成26年度は、前年度の成果の発表および平成27年度の調査へ向けた準備が主な課題となる。平成27年度は他者との接触がwell-beingに及ぼす影響のメカニズムを同定するための大規模な調査を実施する。この調査は住民基本台帳等を基に無作為抽出した高齢者を対象とするため、平成26年度には自治体等との連携を模索し、調査実施のためのネゴシエーションを行う。また、その過程で更なる研究論文のレビュー、最新の知見の入手(学会などへの参加)も実施する。現時点で、遂行上の問題点は特にない。
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