研究課題/領域番号 |
13J08571
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研究機関 | 東京大学 |
研究代表者 |
三輪 洋文 東京大学, 法学政治学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | イデオロギー / ヒューリスティック / 政策空間 / 混合分布モデル / 部分的に観察可能なプロビットモデル / コンジョイント実験 |
研究実績の概要 |
1. 日本政治におけるイデオロギーに関する研究 (1) 1980年代以降の日本において有権者レベルで保革イデオロギーが衰退した原因は80年代後半以降に進んだ政治的情報のソフト化に求められるということを示す分析を行った。(2) 政党のイデオロギー位置に関する世論調査では回答者のタイプによって質問文の理解が異なりうることを指摘し,それを考慮した統計モデルを構築した上で,イデオロギー的な用語の意味を理解している者に限れば,近年の日本の有権者は政党の左右位置を専門家と同じように認識できていることを示す研究を行った。この成果は英文の査読付き学術雑誌に投稿したところ受理され,公刊された。(3) 有権者のイデオロギー的自己意識を説明するのに適した統計モデルを構築し,推定のためのプログラムを書いた。来年度の日本政治学会に応募し,採択された。 2. 有権者のイデオロギーに関するより一般的な研究 (1) 有権者が保革イデオロギー軸上へ自己を位置づける際に,人によって念頭に置く争点が異なる可能性があることを示す研究を行い,日本選挙学会で報告した。(2) 2012年衆院選のような政策空間が多次元である状況においては,有権者の対立軸の捉え方が一様ではないことを示す研究を行い,受入研究者との共著論文として日本政治学会で報告した。さらにそれを英語論文として書き直し,査読付き学術雑誌に投稿した。(3) 先述の政党のイデオロギー位置に関する世論調査に関する統計モデルを改良し,多国間比較のための世論調査データに適用する研究を行った。来年度の日本選挙学会にポスター報告として採択された。 以上が平成26年度内の実績であるが,2(1)に関して方法論的な改善の必要が生じたため,予算を一部繰り越し,27年度に受入研究者および学外の研究者と協力してオンラインで実験を行った。27年度末現在,英語論文を執筆中である。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
1本の英語論文がアクセプトされたほか,複数のプロジェクトを並行して進めており,次年度に着手すべき研究の構想もできている。研究方法を変更するために予算を一部繰り越す事態が生じたものの,全体的に見れば予定通りのペースで進展している。
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今後の研究の推進方策 |
最終年度は,これまで行ってきた複数のプロジェクト全てについて,少なくとも学会・研究会等で報告し,可能な限り年度内に論文として発表することを目指し,査読付き学術雑誌への投稿を進める。また,次年度に着手するTwitterデータを用いた研究についても,年度内にある程度の形にできるよう進度に注意して実施する。
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