研究課題
昨年度は高効率量子ドットレーザの開発を目的に化合物半導体の量子ナノディスク構造作製プロセスの最適化及びデバイスの試作を行った。1. 量子ナノディスク構造の作製プロセス最適化作製した量子ナノディスク構造の透過型電子顕微鏡の断面図の観察より、構造内部に結晶欠陥が見られておらず、作製した量子ナノディスク構造が期待通りに低欠陥に作製できていることが分かった。また、我々の量子ナノディスク構造の特徴である2つのサイズ制御パラメータ(厚さ・直径)を独立に制御したサンプルを作製しフォトルミネッセンスを行った結果、サイズに応じた発光のピーク位置のシフトを確認した。また、この発光のピーク位置はシミュレーションにより算出した発光のピークとほとんど一致している。さらに、表面の酸化膜と作製した量子ナノディスク構造の関係性について調査し、表面の酸化状態を制御することで、密度を約2倍(5×10^<10>cm^<-2>から1×10^<11>cm^<-2>)まで向上させることに成功した。デバイス応用への3次元量子ナノディスク構造の開発として、基板製膜時のGaAs量子井戸構造の席総数を増加させることで3次元量子ナノディスク構造の作製を行った。また、他の半導体材料への展開として、光通信へ適用が可能なInGaAs量子ナノディスク構造の作製も始めた。その結果これまでに、ナノディスク構造の作製に成功し、InGaAsナノディスクからと思われるPL発光を観測している。今後、さらなるプロセスの最適化をする予定である。2. デバイスの作製・評価このようにして最適化を行った3次元GaAs量子ナノディスク構造においてレーザ構造の試作を行い、低温において電流注入による発光特製の評価を行った。その結果、レーザ発振は確認できなかったものの、電流注入による高強度の発光を観測し、LEDとして機能しているということを確認した。
2: おおむね順調に進展している
3次元GaAs量子ナノディスク構造の作製プロセスの最適化及び量子ドットデバイスの試作を初年度の内容として計画しており、ほぼその計画通りの内容を行い達成している。
今後は作製するレーザ構造の最適化、具体的には電極構造の最適化や積層構造の最適化を行う必要があると考えられる。現在、作製したGaAs3次元量子ナノディスク構造を用いて低温下ではあるが高強度の発光を電流注入により観測している。レーザ発信まで至らない原因としては、注入電流密度が小さいことやGaAs量子ナノディスクまで電流が注入されていないことが考えられる。注入電流密度を向上させるために、電極面積を小さくすることや電極材料・プロセスの検討が必要となる。また、GaAg量子ナノディスクに電流を注入させる方法としては、バリア層となるAlGaAs層の膜厚や組成比の最適化や再成長前の表面のクリーニング方法の検討が必要であると考えられる。
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Journal of Physics D
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NANOTECHNOLOGY
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10.1088/0957-4484/24/28/285301