研究課題/領域番号 |
13J08678
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研究機関 | 名古屋大学 |
研究代表者 |
佐々木 寛人 名古屋大学, 大学院工学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 細胞品質評価 / 創薬スクリーニング / バイオインフォマティクス / 画像解析 / 幹細胞 / 生物工学 / セルベースアッセイ / 再生医療 |
研究概要 |
本研究では、細胞画像情報に基づく品質評価法により、薬剤評価の安定化と迅速かつ効率的な創薬スクリーニング手法を確立させることを目指す。これまでに細胞培養手技の安定化と画像処理技術、さらにはバイオインフォマティクスの導入により、顕微鏡画像から得られる情報、つまり、細胞の形の変化のみから、細胞の活性変化や遺伝子発現量変化を検出できる「細胞画像情報解析」の技術を開発してきた。 そこで本研究では、本技術を応用し、創薬基礎開発における有用化合物探索のための細胞試験にて「本手法が薬剤評価に利用できるか」「どのような薬剤評価の検出ができるか」といった2つの観点から、汎用性の検証と検出力の向上を目標としている。 前述の課題は、これまでの検証においてもデータの安定化や現象理解のうえで最もクリティカルであり、いかにどの細胞株・細胞種でも本手法が創薬スクリーニングに用いることができると立証するためには、これまでの研究と同様に多くの条件に対する精度評価が重要である。また、形態情報で捉えたい生物学的評価項目が、従来手法であっても感度よく検出できない場合には、手法の検出力の比較が行えない場合があった。このため、本研究では培養実験やマイクロアレイ解析、免疫染色を通じ、明確な「モデルケースデータ」を準備するだけでなく、情報学的にも処理手法そのものの高感度化との両方を検証する。 平成25年度は、基盤技術構築に向けたデータ解析を実施した。既存の化合物データベースから選抜した薬剤候補化合物を細胞に添加し、その応答がどのような細胞情報として数値的に検出可能であるかを検証した。さらに、連続的な画像取得によって、「いつ薬剤が効いてきたか」という、従来の創薬研究では対象外とされてきた「薬効の時系列変化の検出」を目標とし、高次元かつ精密な情報解析の構築を目指した。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
当初の研究計画であった「薬効の時系列変化の検出」を目指した実験系の構築と情報解析の検討が順調に進んでいる。現在、共同研究において実用化を目指した検討を引き続き実施している。 また、関連する成果は、雑誌論文1件、図書1件、学会発表27件の研究発表に至っている。
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今後の研究の推進方策 |
今後は、前年度に行った実験データ蓄積および解析を行った結果をもとに、本系の実用化に向けた発展的研究を行う。そのためには、1. 情報解析技術の高度化・高精度化(高次元かつ時系列的な細胞情報をどう扱い、可視化するか)、2. 生物学的な細胞評価項目の追加と関連技術開発(細胞集団のヘテロ性の数値化、ex vivo評価系における生物学的データの取得)3. ヒトプライマリ細胞や臨床用細胞を試験対象とした検証以上3点を行い、本技術の汎化性と頑健性を確認することを目標とする。
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