研究課題/領域番号 |
13J08771
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研究機関 | 東京工業大学 |
研究代表者 |
川那子 高暢 東京工業大学, 大学院総合理工学研究科, 特別研究員(PD)
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キーワード | 高誘電率絶縁膜 / La-silicate / 界面準位 / 基板面方位 |
研究概要 |
1年目は直接接合La-silicate/Si界面をさらに改善し、構造欠陥が極めて少ない理想的な界面の一つであるSiO_2/Si界面に匹敵する界面特性の実現を目指す。現在の1.6×10^<11>cm^<-2>eV^<-1>界面準位を10^<10>台にまで低減させることを試みた。SiO_2/Si界面の研究から、界面およびその近傍に存在する応力が界面準位の物理的起源と考えられている。この界面近傍に存在する応力は、高温で酸化あるいは熱処理を行うことで緩和される。これは高温熱処理によってSiO_2膜の粘性流が起こり、Si-O-Si結合の角度が広がるためである。 La-silicate/Si界面の場合も、界面準位の熱処理温度依存性が見られたことから、SiO_2/Si界面と同様の現象が生じていると思われる。本研究ではまず800℃よりもさらに高い温度で熱処理を施した結果、6×10^<10>cm^<-2>eV^<-1>の界面準位を達成した。さらにFT-IR法による分析では、高温熱処理を施すとSi-O-Si及びLa-O-Siのピークが長波長側にシフトしたことから、界面準位の低下は界面応力の緩和によるものと考えられる。また、通常の(100)面基板に加えて(110)面基板上でもLa-silicate形成と特性評価を行った結果、面方位の異なる基板上でも良好な界面特性と低EOTが実現できることがわかった。通常の熱酸化によるSiO_2は基板面方位によって成膜レートが異なるが、La-silicateは同じ膜厚が熱処理中に形成されることが分かった。これは通常の熱酸化と異なりラジカル酸化によってLa-silicateが形成されるため、基板面方位に依存しないと考えられる。FT-IR法による解析では、基板面方位に因らず高温熱処理によってピークシフトを確認したことから、基板面方位に因らず高温熱処理によって界面応力が緩和されると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
本研究では、6×10^<10>cm^<-2>eV^<-1>というSiO_2/Si界面に匹敵する界面準位を達成した。 FT-IR法による分析から、応力の緩和が界面準位減少の要因と考えられる。 (100)面基板に加えて(110)面基板上でも、良好な界面特性と低EOTが実現した。
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今後の研究の推進方策 |
界面の応力緩和に関して、La-silicate/Si界面への窒素導入を検討する。La-silicateに窒素を添加すると熱膨張係数が減少するため、界面準位の低減につながると考えられる。ラジカルガンによってSi基板が窒化されることをSIMS分析によって確かめている。また、上部電極界面へのSi層挿入や具レインサイズの極めて小さい炭化タングステン電極を用いたMOS界面制御について今後実験的に検討を進めていく予定である。
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