• 研究課題をさがす
  • 研究者をさがす
  • KAKENの使い方
  1. 課題ページに戻る

2014 年度 実績報告書

一細胞単位で設計された神経回路を有する三次元人工脳組織の構築

研究課題

研究課題/領域番号 13J08795
研究機関東京大学

研究代表者

吉田 昭太郎  東京大学, 情報理工学系研究科, 特別研究員(DC1)

研究期間 (年度) 2013-04-01 – 2016-03-31
キーワード神経細胞 / 神経回路 / 海馬 / 培養細胞 / MEMS / マイクロデバイス / フォトリソグラフィ / 微小電極アレイ
研究実績の概要

本研究の目的は、培養神経回路を一細胞単位の高解像度で設計・構築可能にするためのマイクロデバイスの構築である。デバイスは一細胞サイズの培養皿(マイクロプレート)をガラス基板上にアレイ状に大量に製作したものであり、各マイクロプレート上で単一神経細胞の形態を制御し、かつ自由にハンドリング可能にするものである。26年度では、機能的な神経回路が構築可能であることを示すために、軸索・樹状突起の分化能およびシナプス形成能を持つ初代培養神経細胞を用いてデバイスの評価・最適化を行った。特に、記憶・学習に重要である海馬の神経回路を培養下で再現することを目指し、胎齢18日ラットの海馬神経細胞に注目した。
ラット海馬神経細胞を単一細胞ごとに培養するために、マイクロプレートの形状と材料について検討と改良を重ねた。結果として、直径30μmの円と幅10μm 長さ100μm/20μmの線を持つマイクロプレートに、ラミニンをパターニングしたものの上で海馬神経細胞の培養と形態制御が可能であった。特に、Tau-1(軸索に局在)とMAP2(樹状突起に局在)がそれぞれ100μm、20μmの線の上に局在する様子が見られた。これは、神経回路構築の上で重要である神経情報の伝達の流れ(前シナプス細胞の軸索→後シナプス細胞の樹状突起)を制御可能であることを示唆している。
マイクロプレート上で培養した海馬神経細胞を、マイクロマニピュレータに取りつけたガラス毛細管で押すことによってハンドリング可能であることを確認した。神経細胞は通常ガラス毛細管などで無理に動かそうとすると細胞接着が失われ死ぬが、マイクロプレートを用いることで神経細胞の接着を保ち生きたままハンドリングできた。また、単一神経細胞が載ったマイクロプレート同士をアセンブリしたところ、アセンブリ後に細胞が成長し、細胞牽引力によってマイクロプレート同士が整列することがわかった。

現在までの達成度 (区分)
現在までの達成度 (区分)

1: 当初の計画以上に進展している

理由

本研究の計画は、考案したマイクロデバイスによって(1)単一神経細胞の形態制御が可能である、(2)形態を制御した単一神経細胞をハンドリングできる、(3)単一神経細胞同士を組み合わせて神経回路を構築することができる、以上の3点を示すことである。このうち、神経細胞の単一細胞単位での形態制御にすでに成功していること、またそのハンドリングおよびアセンブリによる神経細胞間の接触の形成が可能であることを示していることから、(1)(2)は達成しており、(3)もおよそ達成しているといえる状況であるためである。27年度は最終段階として、本研究で提案しているマイクロデバイスによって機能的な神経回路を構築できることを示すのみであり、当初の計画を上回る成果も期待できる。

今後の研究の推進方策

今後は本研究で提案しているマイクロデバイスによって海馬神経細胞を自在に組み合わせ、機能的な神経回路を構築できることを示す。そのために必要な計画は、(1)微細な神経突起の可視化のためのGFP遺伝子導入、(2)成熟したシナプスが形成されていることを確認するためのシナプス関連分子の染色、(3)シナプス間を情報が伝達することを確認するための微小刺激電極の作成およびカルシウムイメージング、である。GFP遺伝子導入はバキュロウイルスあるいはアデノウイルスによる導入を準備しており、シナプス関連分子の染色は予備的な結果を得、また電極の試作も行っている。自在に神経回路を構築可能であることを示すことができれば、回路の構造に依存する神経活動の変化を捉えるなど、さらに発展的な内容の実験も行う予定である。

  • 研究成果

    (7件)

すべて 2015 2014

すべて 学会発表 (7件)

  • [学会発表] 培養神経回路を構築するための神経細胞ハンドリングデバイス2015

    • 著者名/発表者名
      吉田 昭太郎, 竹内 昌治
    • 学会等名
      電気学会医用・生体工学研究会
    • 発表場所
      東京大学, 東京
    • 年月日
      2015-03-27 – 2015-03-27
  • [学会発表] Construction of in vitro neural networks by assembling single neural cells using a microfabricated cell-handling device2014

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Yoshida, Shoji Takeuchi
    • 学会等名
      Neuroscience 2014 (Society for Neuroscience)
    • 発表場所
      Washington DC, USA
    • 年月日
      2014-11-15 – 2014-11-19
  • [学会発表] Neural circuit assembly using morphologically controlled single neural cells2014

    • 著者名/発表者名
      Shotaro Yoshida, Shoji Takeuchi
    • 学会等名
      The 18th International Conference on Miniaturized Systems for Chemistry and Life Sciences (MicroTAS 2014)
    • 発表場所
      San Antonio, USA
    • 年月日
      2014-10-26 – 2014-10-30
  • [学会発表] 単一神経細胞をモジュールとして扱う神経回路アセンブリ2014

    • 著者名/発表者名
      吉田 昭太郎, 竹内 昌治
    • 学会等名
      電気学会センサ・マイクロマシン部門 部門大会 第31回「センサ・マイクロマシンと応 用システム」シンポジウム
    • 発表場所
      くにびきメッセ、島根
    • 年月日
      2014-10-20 – 2014-10-22
  • [学会発表] 単一神経細胞プレートのアセンブリによるin vitro神経回路構築2014

    • 著者名/発表者名
      吉田 昭太郎, 竹内 昌治
    • 学会等名
      化学とマイクロ・ナノシステム学会第30回研究会
    • 発表場所
      北海道大学, 北海道
    • 年月日
      2014-10-02 – 2014-10-03
  • [学会発表] Neural circuit assembly at the single cell level by a neural cell-handling device2014

    • 著者名/発表者名
      吉田 昭太郎, 竹内 昌治
    • 学会等名
      CIBiS設立公開記念シンポジウム
    • 発表場所
      東京大学, 東京
    • 年月日
      2014-07-23 – 2014-07-23
  • [学会発表] バイオアセンブラ第三回若手シンポジウム2014

    • 著者名/発表者名
      吉田 昭太郎, 竹内 昌治
    • 学会等名
      「マイクロプレートによる神経回路アセンブリ」
    • 発表場所
      東京大学, 東京
    • 年月日
      2014-07-03 – 2014-07-03

URL: 

公開日: 2016-06-01  

サービス概要 検索マニュアル よくある質問 お知らせ 利用規程 科研費による研究の帰属

Powered by NII kakenhi