研究課題/領域番号 |
13J08797
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研究機関 | 千葉大学 |
研究代表者 |
永島 和治 千葉大学, 融合科学研究科, 特別研究員(DC1)
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研究期間 (年度) |
2013-04-01 – 2016-03-31
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キーワード | 無線電力伝送システム / 高効率・低コスト / 共振型DC/DCコンバータ / 1入力多出力 / 注入同期型発振器 / 同期範囲導出 |
研究実績の概要 |
今年度は,高効率な共振型DC/DCコンバータの動作解析,一送信多受信無線電力伝送システムの開発,注入同期型発振器における同期範囲導出法の提案について研究を行い,その成果を論文として発表した.今年度の補助金は,主に回路開発のための実験準備品・消耗品,論文投稿料,海外発表のための旅費に当てられた.
A. 高効率な共振型DC/DCコンバータの動作解析についての論文は,回路とシステムワークショップ等で発表を行った.高効率DC/DCコンバータにおいてパラメータ変動による動作を回路解析により明らかにしたことで,パラメータ変動時でも高効率を達成できるコンバータの設計を可能とし,また高効率を維持できる制御手法を提案した. B. 一送信多受信無線電力伝送システムの開発についての論文は,IEEE Energy Conversion Congress and Exposition等で発表した.高効率DC/DCコンバータを1入力多出力の無線電力伝送システムに適用し,我々の研究室が持つ独自の数値設計アルゴリズムにより設計・実装に成功した.現在まで一送信多受信のシステムの設計・実装をしている例は非常に少なく,無線電力伝送システムの研究において,多受信化の先駆けとなる研究である. C. 高効率な注入同期型発振器における同期範囲導出法の提案についての論文は,論文誌IEEE transactions on Circuits and Systemsに掲載された.注入同期型発振器とは,外部から安定した周波数を持つ信号を注入し,その信号と同期することで安定した発振を可能とする発振器である.同期することが重要であるため,発振器を実装する前に,同期範囲を把握する必要がある.Cでは,物理学の分野で発展した理論を電力変換器である高効率な注入同期型発振器に適用したことで,高精度な同期範囲導出を可能とした.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
高効率DC/DCコンバータを適用した一送信多受信の無線電力伝送システムの開発に成功した.また,高効率DC/DCコンバータの回路解析により,パラメータ変動に対して高効率を達成できる領域の拡大および高効率を達成できる制御手法を提案した.これらの成果から,申請者の研究計画はおおむね順調に進展していると結論づけられる.
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今後の研究の推進方策 |
今年度得られた研究成果を組み合わせ,研究課題を達成するための研究を行う.
a. Bの多受信無線電力伝送システムに,前年度の研究成果である高効率・低コストなDC/DCコンバータを適用する.これにより,高効率と低コストを両立したシステムを実現する. b. aの多受信無線電力伝送システムについて,Aの回路解析技術を適用することでパラメータ変動(位置ずれ,負荷変動,受信機の個数変化)に対する動作を把握する.これにより高効率を維持できるパラメータ領域を明らかにし,高効率を維持できるパラメータ領域の拡張および制御手法を確立する.
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