研究課題/領域番号 |
13J08801
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研究機関 | 東北大学 |
研究代表者 |
大野 肇 東北大学, 大学院環境科学研究科, 特別研究員(DC2)
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キーワード | 鉄鋼台金元素 / マテリアルフロー解析 / 産業連関分析 / 線形計画法 |
研究概要 |
当該年度は廃棄物産業関連マテリアルフロー分析モデル(WIO-MFAモデル)を用いて鉄鋼及びその合金元素に関して包括的なフロー分析を行うことにより、これまでのMFA研究では扱われて来なかったリサイクル材の質を考慮した、より具体的な有効利用法の検討及び提案を可能にした。 その結果より、廃自動車(ELV)由来の鉄スクラップに随伴する合金元素は電気炉製鋼における年間合金元素一次資源消費量の9.3%に匹敵すると推計されることから、ELV由来鉄スクラップが持つ合金元素のリサイクルポテンシャルが非常に大きいことが示唆された。しかし現状では、合金元素が多く含まれる自動車パーツとそうでないパーツを一様に破砕し、さらに合金元素成分を多くは必要としない普通鋼の生産にそのスクラップが投入されていることから、ELV由来の鉄スクラップのリサイクルを介して大量の合金元素が散逸している可能性があることが示唆された。 そこで、ELV由来鉄スクラップ中に含まている合金元素を最大限に生かすELV由来鉄スクラップと再生鋼材のマッチングを線形計画法(LP)を産業連関分析に応用し最適化した。結果として、ELV由来鉄スクラップ中の合金元素の最大88%を有効利用することが可能なマッチングを得ることができた。 合金元素は採掘や精錬に伴う環境負荷が高いものが多いため、リサイクルによる負荷低減の重要性が高まっている。本研究は日本だけでなく世界全体における合金元素の循理利用システム構築へ向けた先駆けとなると考えられる。
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
1: 当初の計画以上に進展している
理由
1年目の予定はすべて達成し、2年目に予定していた内容も半分以上達成できたため。また、新たなモデルの応用可能性も示唆され、今後の発展が期待できる。
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今後の研究の推進方策 |
今回は廃自動車リサイクルにおいて合金元素の有効利用が可能なマッチングを得ることができた。しかし、これはあくまで合金元素の有効利用率を最大化する目的関数において達成されたものであり、現実のプロセスに応用する際は、環境性やコスト面についても最適でなければならない。そこで、線形計画法による最適化の目的関数として、それらをパラメータとして組み込むことによってより現実に近い実現可能なプロセスの提案を目指す。
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