研究概要 |
本研究は系外惑星の直接撮像観測をベースとして, 巨大ガス惑星を中心とした惑星の形成・進化過程を観測的に制限・検証することを目標とする. この研究目標に対し, 平成25年度は以下の進展を得た, まず, これまで継続してきた直接撮像探査の結果, 太陽型恒星GJ504から約44天文単位離れた距離を公転する巨大惑星(GJ504b)を検出したことを報告した. 本研究の推定ではGJ504bは木星の数倍の質量をもち, さらに非常に低温(有効温度が約500K)の大気をもつこともわかった. 別に行っていた観測からは, その大気中にメタンが存在する可能性が高いことを示した. 太陽型恒星を公転する系外惑星としては, GJ504bの様な特徴をもつ惑星はこれまで直接撮像されておらず, 本発見は比較的ユニークなものである. また, 他のターゲットに対する観測をすばる望遠鏡を用いて行ない, さらなる惑星探査を試みた. その結果, 予定していた探査をほぼ着実にこなすことができた. 天候条件の影響などで観測完了していないターゲットの観測は平成26年度に行なう. また, GJ504惑星系の内側に巨大惑星が存在すれば, GJ504bの起源に関わる可能性があるが, その内側惑星を視線速度探査するための観測計画を岡山天体物理観測所に提案した. 計画は採択され, 平成26年度に実行される予定である. 本研究では, 赤外線を用いた視線速度法によって惑星を探査することも目標としている. 赤外視線速度法は低質量星や若い星に対して惑星を探査する点において有効である. すばる望遠鏡のための赤外視線速度観測用の装置(名称 : すばるIRD)の開発が進みつつある, 従って平成25年度は, 装置開発終了後に実際に開始する探査計画, 観測やデータ解析の方法, 事前観測などについて共同研究者と協力して検討した. その結果, 赤外視線速度法による惑星探査計画の準備を進めることができた.
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現在までの達成度 (区分) |
現在までの達成度 (区分)
2: おおむね順調に進展している
理由
直接撮像による惑星検出については主著者の論文として平成25年度に国際学術誌に受理され発表し, さらに, 計画していた様に国内外の学会・研究会で発表することで, その成果を広く報告することができた. また, その結果に対する発展的観測の成果も共著の論文として同年度に発表することができた. さらに, 新たに行なった観測の結果, 予定していたターゲットの観測をほぼ着実に実行でき, その内の一部と過去の探査結果をまとめた論文が共著の論文として受理された. 赤外視線速度法を用いた研究においても, その準備を進められており, 本年度の研究では一定の成果をあげられたと考えられる.
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今後の研究の推進方策 |
今後は, 直接撮像観測による研究としては, まずこれまでの観測で検出されでいる惑星候補天体を追加観測することで, それらの天体が惑星であるかどうかの判別をすることを第一目標とする. また, リストに含まれているが観測を行なっていないターゲットが多少残されているため, それらの観測を完了することも目指す. その観測計画が完了次第, それらの総合的成果を論文にまとめたい. 赤外視線速度法を用いた惑星探査における研究においては, データ解析や分析の手法の確立や, ターゲットの選定など, 共同研究者と協力してより具体的な課題をつめていきたい.
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